小さい子どもは何かとしょっちゅう鼻水を出しているもの。本人たちは鼻をズビズビさせながら平気な顔で遊び回っていることも多いですが、時には鼻水が中耳炎など他のやっかいな症状につながることもあります。子どもの様子を観察しつつ、早めに適切なケアをするにはどうしたらいいのでしょうか。耳鼻咽喉科の専門医である、アリス耳鼻咽喉科院長の工藤典代さんに聞きました。記事の「前編」となる今回は、子どものために親がぜひ勉強しておきたい鼻水についての基礎知識をお届けします。3月後半に公開予定の「後編」では、より実用的な鼻水ケアの方法を解説します。

【年齢別特集 保育園のママ・パパ向け】
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 そもそも、鼻水とは何なのでしょう。「鼻の粘膜の中には鼻腺という細胞があります。鼻水は、この鼻腺が刺激された際に出てくる分泌物です」と、アリス耳鼻咽喉科院長の工藤典代さんは説明します。鼻の中にほこりや病原菌(ウイルス、細菌など)が飛び込んで来たり、冷たい外気を感じたりすると、その刺激に鼻腺の細胞が「何か良くないものが侵入しようとしている」と判断し、鼻水を分泌して刺激の原因を外部に排出しようとするのです。また、「子どもは大人に比べて鼻腺の細胞の数が多いので、同等の刺激があった場合、大人よりも鼻水を出す量が多くなります」。

 鼻水には鼻腺から出た分泌物のほかに、血管からの浸出液、鼻に入ったゴミやほこり、ウイルスや細菌、免疫細胞の死骸などが混ざることもあります。鼻水の色や粘度から、何が混ざっており、体でどんなことが起きているかを推測できます。そのため、子どもが鼻水を出していたら、まず「どんな鼻水か」を確認するとよいでしょう。