「保育の質」以前に「親と子の質」に変化あり。モンスターペアレンツの実態
日経DUAL編集部 本日は東京都内の公立認可保育園に勤務する、保育士の加藤学さんと石川怜子さん(どちらも仮名)にお越しいただきました。お二人とも保育士歴は13年。
加藤さんは、保育士になる前の3年間は障がい者施設に勤め、保育園は現在で2園目。石川さんはこれまで3つの保育園を経験し、現在の園での勤務は4年目に入ったところです。各園での勤務期間は各6~7年ほどだったということで、一つの園に割と長く勤務されていますね。
加藤さん(以後、加藤) 私が勤める自治体には「異動年限」というものがあり、原則として最低6年間は同じ園に勤めることになっています。以前は、もう少し短い期間で異動する場合もありましたが、7~8年前に保護者から要請があったようです。「あまり早く先生が異動するのは困る」、と。そこで、勤務1年目のときの0歳児が卒園するまで、つまり最低6年間は同じ園に勤めるというのが基本になりました。
―― 保育士の仕事を10年以上続けられる中、「保育の質」の変化をお感じになることはありましたか? 都内でも民間の保育施設が増えてきていますが……。
加藤 確かに保育園の数は増えていますが、だからといって私達の仕事内容が変わるわけではありません。公立の保育園には人員配置や面積などに関する国の基準があるため、そこから大きく外れることもありません。ただ、“子どもの質”が10年前とはだいぶ変わってきたな、という気はしています。
―― “子どもの質”というと?
加藤 対応が難しいお子さんが増えてきているという印象です。
そのため、子ども一人に対する保育士の数を国の基準より増やしたほうが、手厚く見てあげられるのではないかと思いますね。知的な面や発達に問題がなくても、むしろ知恵が働く子で「困ったな」と思う行動を取る子どももいますから。
保護者の方も昔とは変わってきています。いわゆる“モンスターペアレンツ”はご想像の通り、増えているというのが現状です。
―― ギク! 出ました、モンスターペアレンツ! 親としては、自分の“主張”が、“行き過ぎたクレーム”だと思われていないかどうかが非常に気になるところです。保育士さんの立場からご覧になった場合、どういった理由から「この親はモンスターペアレンツだ」と感じるのでしょうか?
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