子どもを長時間毎日預ける親ならば、安心できて質の良い保育園を選びたいのは誰しも同じです。しかし、保育所を選ぶといっても、これだけの待機児童がいる中で、保育施設を好きに選ぶことさえできないのが実情です。それでも、親が自分の目で見て、確認することは、その後の子どもの生活にとってとても大切なこと。労働経済ジャーナリストの小林美希さんに、引き続き「保育の質」を見極めるポイントを伺っていきます。

【「今、保育園が危ない」特集】
第1回 「園の運営に対して不安に感じる」親は50.8%
第2回 「保育の質」は下降する!? 今、親にできること
第3回 保育の質を改善するには、親達の「つぶやき」が必須 ←今回はココ
第4回 保育園“モンペ”にならない上手なクレーム術とは
第5回 現役保育士の座談会「保護者には何でも言ってほしい」
第6回 公立園と民間園では雲泥の差。厳しい「保育士事情」
第7回 わが子を保育園で亡くした夫婦 事故防止策を作成

「保育園見学」 これだけは大事にしたいチェック5項目

保育園を選ぶといっても、これだけの待機児童がいる中で、自らが選ぶ保育園に必ず入れるという保証はどこにもありません。それでも、自治体に申し込む前に、保育園を見学することが何よりの手がかりだと小林さんは言います。

小林さん(以下、敬称略) 園選びは本当に難しいです。先ほど株式会社は危険だと言いましたが、中にはきちんとしたところもありますし、逆に社会福祉法人や公立であっても、いい保育園かどうかは分かりません。本当は何度も見学に行かないと、どんな保育園であるか見極めるのは難しいと思います。

見学時のポイントとして小林さんは次の5つを挙げます。

① 見学の際に園長先生が対応をしてくれるかどうか
② 少なくとも1時間以上かけて案内してくれるかどうか
③ 遊んでいる姿だけでなく、食事の風景も見せてもらえるかどうか
④ ベテラン・中堅・新人保育士の割合がどれくらいか
⑤ 保育士同士の意見の交流があるかどうか

労働経済ジャーナリストの小林美希さん
労働経済ジャーナリストの小林美希さん

小林 保育園にとって、園長の存在は絶対です。

 園長が変われば保育の内容もガラリと変わります。ですから、まず園長と話をすることが何より大切です。見学を主任や他の若手に任せず、どういう考えで保育をしているかを、園長の口から話してもらえることが絶対条件です。細かい質問を用意して、それにどう答えてくれるかをしっかり聞いてみてください。

 また、ゆっくりと時間をかけて保育園を案内する余裕があるかどうか。その際、園長が保育士にちょっと指導したり、気軽に意見交換をしたりしている園はいいですね。ベテランによる指導が行き届いているという証拠になります。先生同士が意見を言い合える、風通しの良い雰囲気も大事です。

<次ページからの内容>
・ 保育園の見学は食事時間に。そのワケは?
・ ベテラン、中堅、若手保育士の配置バランスが重要
・ “良い保育士”がバーンアウトしがちな理由
・ 今回の待機児童問題の目玉対策は「やってはいけないこと」ばかり
・ 問題の根本を解決する対策は2点セット
・ 「私達にも今すぐできること」がある