「今の夫婦はコミュニケーション不足です」――今回の特集で話を聞いた3人の専門家、Jash 日本性の健康協会の山口いわおさん、ラブライフアドバイザーのオリビアさん、パートナーシップ&ペアレンティングアドバイザーの林田香織さんは、夫婦の夜の問題の原因について、そう口をそろえます。妊娠・出産を迎え、肉体的にも精神的にも男女の間で違いが生まれることは避けられません。だからこそ、重要視される夫婦間のコミュニケーションをどのようにしていけばいいのか。多くの夫婦が抱える悩みの裏側や改善方法に迫ります。
なぜ、コミュニケーション不足になるのか?
夫婦コミュニケーションの専門家であるパートナーシップ&ペアレンティングアドバイザーの林田香織さんは、かつてアメリカで生活をしていた経験があり、日本に帰ってきてからこんなことを感じたそうです。
「なんでこんなに大変なんだろうと感じましたね。やらなければいけないことがたくさんあるし、周囲の目もあるし。“ちゃんとやらなくてはいけない”っていうことがすごく多い」
林田さんは、いわば優等生的な夫婦や家族を目指さなければいけない風潮の中で、日本の夫婦を取り巻く環境で足りないと感じているものが5つあると言います。それは……
共働き家庭にとっては、時間的・精神的な余裕は特に直面している部分でしょう。日本の住宅事情を考えると二人だけの空間もまた難しい。それ以外の3つについても改善は簡単ではないが放っておくことはできないもの。そんなときこそ、二人が力を合わせるチャンスなのだけれど、実際は力を合わせるために必要なコミュニケーションが足りない、という現状があるのです。
「多分、夫はもっとしたいはず」
●「多分夫はもっとしたいはずだが、私に遠慮してくれていると思う」(32歳女性 建設、専門職)
●「私は子づくり意識が強いが、パパは肌のコミュニケーションを求めている気がする」(33歳女性、その他)
●「夫は夫婦の営みをすることが、家事・育児・仕事の疲れの癒やしになるものだと勘違いしているようだが、私個人についていえばそれは全く当てはまらない。こちらの、心の支えになってくれるような、言葉での話し合いや会話をそれほど持とうとしてくれないことにこちらは大きな不満があるのに対し、夫は体のコミュニケーションさえあれば夫婦間のコミュニケーションは取れるものと思っているようだ」(46歳女性、その他)
今回のアンケートで「パートナーと自分の間で夜の営みに対する考え方が違うと感じますか?」という問いに「違うと思う」「どちらかというと違うと思う」「わからない」と答えた人は合わせて6割を超えています。
上記は、その中で、具体的に感じている違いについてのコメントをピックアップしたもの。いずれも、なるほどと感じる人が多いかもしれませんが、実はこのコメントには共通点があるのです。