「地頭のいい子」と聞くと、どんな印象でしょうか。単に「頭がいい子」よりも、世の中を逞しく生きていけるような、真の能力があるような、そんな響きを感じませんか。でも「地」頭って何?と言われると、考えてしまいますよね。地頭がいいって何? 地頭って何歳で決まるの? 子どもの地頭を良くするためには、親は何をすればいいの? ――DUAL11月特集では、そんな地頭について考えていきます。

 前回は、「地頭は遺伝50%、環境が50%。興味を広く持てるようにして、努力ができる子に育てるとよい」という内容でした。頭の良さは遺伝だけで決まるのではないと分かって、希望が持てたという人も少なくないのではないでしょうか。

 今回と次回の2回は、具体的に親がどんなふうに子どもに接していけばいいのかについてです。今回は、注目すべきところや気を付けたい点、地頭を良くするパソコンやスマホとの付き合い方などをお伝えします。学習塾などで3500人以上の生徒の指導に関わってきた教育デザインラボ代表理事の石田勝紀さんに伺いました。

【地頭がいい子を育てる暮らし方 特集】
第1回 親野智可等 子どもの地頭を育てる「知識の杭」
第2回 茂木健一郎 「理三を目指すような子には育てるな」
第3回 地頭の良さは両親の遺伝子しだい? それとも環境?
第4回 地頭はOS デキる子がしているバージョンアップ法 ←今回はココ!
第5回 4つのマジックワードで地頭をととのえよう

地頭とはパソコンやスマホのOSのようなもの

 「地頭が良い」というと、どうしても「元から頭が良い」というイメージがあります。しかし、石田先生は、「地頭はそのようなごく一部の限られた人だけのものではない」と話します。

教育デザインラボ代表理事の石田勝紀さん
教育デザインラボ代表理事の石田勝紀さん

 「僕は、地頭とは“どこでも、どんな時代でも生き抜いていける力” で、誰でも良くすることができるものだと考えています」

 石田先生は、現在カフェスタイルの勉強会「ママカフェ」を主催し、伸びる子どもを育てるノウハウについて講義したり、ママたちの色々な相談に応じたりしています。そこに集う30~40代の小学生ママや幼稚園ママから寄せられる相談で、最も多いのが「子どもが勉強しない」ということだそうです。

 「ひと口に子どもが勉強しないといっても、 “ゲームばかりしている”“頑張っても成績が上がらなくてイヤになってしまった”など、様々な背景があります。でも、共通して必要なのは、地頭という基盤を作ることです」

 石田先生によると、地頭はパソコンやスマホ、タブレットのOSのようなものだといいます。

 「OSとは、その端末を管理したり、コントロールしたりするものです。これによってWordやExcelなど、インストールされているアプリケーションソフトを動かすことができます。でも、OSが古いままだと、新しいアプリケーションソフトをインストールしてもうまく動きません。“地頭を良くする”とは、OSをバージョンアップさせるということなのです」

 2020年には大学入試改革とともに、「学習指導要領」の改訂が予定されており、それによって、学校教育も大きく変わることが予想されています。

 「今までの教育というのは、知識集積型=知識を習得して偏差値を上げる教育で、多くは講義を受ける形式です。つまり、今の親が受けていた教育ですね。しかし、これからは知識活用型=知識を使いこなす教育になります。授業の形式もグループワーク形式が多くなり、自分の意見を求められるので、考えたり、コミュニケーションを取ったりする力が重要になるでしょう」

 こうした変化を考えると、今の子どもたちにとって、地頭を良くする=OSのバージョンアップは必要不可欠といえます。

 とはいえ、ほとんどの子どもは、放っておいて地頭を良くすることはできないのだそうです。では、どのようにすればよいのでしょうか。次ページから見ていくことにしましょう。

<次のページからの内容>
● 親と子どものタイプが違う場合は注意が必要
● 「必要な土台となる知識」と「どうでもよい知識」を見分ける
● パソコンやスマホ、ゲームは「地頭」に悪影響か
● 幼児期にはたくさん体験して美しいものに触れることが大切