食物アレルギーの研究は日々進化しており、数年前の常識が今ではがらりと変わっていることもあります。そこで食物アレルギーの基礎から最新の予防・治療の知識までを、東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター 小児科 助教の堀向健太さんにQ&A形式で聞きました。「上編」「中編」に続き、最終回の「下編」では厚生労働省が12年ぶりに改訂した「授乳・離乳の支援ガイド」に書かれた離乳食と食物アレルギーの関係などを解説します。

【年齢別特集 保育園のママ・パパ向け】
(1) 子どもの食物アレルギー新潮流「皮膚のケアが重要」
(2) 食物アレルギー疑問解消 予防できる?加熱効果は?
(3) 離乳食は遅い方がいい?食物アレルギー今どきの常識 ←今回はココ
(4) 就学前には子どもの興味・自己肯定感を育てよう
(5) 入学直後の授業スタートカリキュラムはどんなもの?

12年ぶりに改訂された「授乳・離乳の支援ガイド」の内容とは?

食物アレルギーを防止するためには、離乳食を始める時期は遅い方がいいの?

 離乳食の開始を遅らせても、食物アレルギーの予防に効果はありません。2019年3月、厚生労働省が12年ぶりに改訂した「授乳・離乳の支援ガイド」(※1)では「食物アレルギーの発症を心配して、離乳の開始や特定の食物の摂取開始を遅らせても、食物アレルギーの予防効果があるという科学的根拠はない」と明記し、生後5~6カ月からの離乳開始を推奨しています。

 鶏卵についても、十分に加熱した卵黄などを5~6カ月から離乳食に取り入れるとしています。これは「中編」で紹介した、「きちんとスキンケアをした生後6カ月までの赤ちゃんに鶏卵を食べてもらうと、その後の鶏卵アレルギー発症率が下がる」という研究結果(※2)を受けたものです。

 そのほか、今回の「授乳・離乳の支援ガイド」改定では、授乳と食物アレルギーの関係も追記されました。「子どもの湿疹や食物アレルギー、ぜんそく等のアレルギー疾患の予防のために、妊娠および授乳中の母親が特定の食品やサプリメントを過剰に摂取したり、避けたりすることに関する効果は示されていない」と明記されています。さらに、乳児に6カ月間、母乳を与えても「小児期のアレルギー疾患の発症に対する予防効果はない」としています。もっとも、ここで「効果がない」と言っているのはあくまで「アレルギー疾患の発症予防」の観点からです。母乳栄養には感染症の予防効果など、ほかにも様々な利点があります(※3)。

 この後もまだまだQ&Aが続きます!

・同じものを食べ続けると、食物アレルギーになることはありますか? 例えば赤ちゃんに離乳食でトマトばかりあげていると、「トマトアレルギーにならないかしら?」と不安になります。
・妊娠中に母親が食べたものは、生まれてくる子どもの食物アレルギー発症に関係ある?
・今まで問題なく食べていたものに関して、突然アレルギーが出ることはあり得るのでしょうか?
・「アレルギー体質」という言葉がありますが、遺伝的にアレルギーになりやすい体質は本当にあるのでしょうか?

次ページから読める内容

  • 「たくさん食べ続けるとアレルギーになる」のは誤解
  • 花粉症と果物アレルギーに関係があるって本当?

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