小学校へ入学する際、「どんな授業をするのかな?」「どんな準備をしておいたらいいの?」と心配になるママ・パパは多いでしょう。専門家に聞くと、2020年度からスタートする小学校の新しい学習指導要領の内容を受け、入学後まもなくの時期には保育園や幼稚園で実施されていた幼児教育の延長線上にある「スタートカリキュラム」と呼ばれる授業が取り入れられるといいます。乳幼児教育学の専門家である玉川大学教育学部教授の大豆生田啓友さんと、実際に新1年生向けにスタートカリキュラムを実施する横浜市立池上小学校の校長・寳來生志子さんに、「スタートカリキュラムとはどんなものか」を聞きました。

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遊びの要素を生かす? 対話を重んじる? 新カリキュラムの正体は

 2020年度からスタートする小学校の新しい学習指導要領では、全体的な方針を示す「総則」の部分に、以下のような文章があります。

「小学校入学当初においては、幼児期において自発的な活動としての遊びを通して育まれてきたことが、各教科等における学習に円滑に接続されるよう、生活科を中心に、合科的・関連的な指導や弾力的な時間割の設定など、指導の工夫や指導計画の作成を行うこと。」

 これは、おおまかに解釈すると「新1年生の最初の時期は、保育園・幼稚園での遊びを通して学ぶ姿勢を生かしつつ、生活科と他の科目を柔軟に取り混ぜながら授業をする」という意味になります。こうした授業を一般に「スタートカリキュラム」と呼びます。

 新学習指導要領では「小学校でも子どもの興味・関心を大切にし、その問いや声を聞きつつ対話的に行うような教育が重視されます」(玉川大学教育学部教授の大豆生田啓友さん)。そのため、スタートカリキュラムでも子どもの主体性を重んじ、対話を通して学ぶ授業が行われるといいます。

 しかし、こうした特徴を並べただけでは「実際にどういった授業なのか」、なかなかピンと来ないのも事実。そこで、既にスタートカリキュラムを取り入れている横浜市立池上小学校の校長・寳來生志子さんに実態を聞いてみました。

 寳來さんによると、2008年度(平成20年年度)の「小学校学習指導要領解説 生活編」でスタートカリキュラムが解説されて以降、横浜市では段階的にスタートカリキュラムの開発や実施に力を入れてきたといいます。「池上小学校では2018年度から新しい学習指導要領を踏まえたスタートカリキュラムを導入し始めました」(寳來さん)。現在は入学当初から約1カ月間、5月の連休の前までを目安に実施しているといいます。ただし、スタートカリキュラムの実施期間について、新学習指導要領に決まりはありません。そのため池上小学校では「子どもたちの状況を見て、年度ごとに実施する長さは柔軟に変えています」(寳來さん)。

対話を通じ、ただの「学校探検」で終わらない発見を得る

 導入に当たって、寳來さんは「1年生はゼロからのスタートじゃない」を合言葉にしたといいます。「子どもは幼児期にも、遊びを通してたっぷり学んできています。小学校で『新入生が何もできない』ように見えるのは、新しい環境になじんでいないためです。だから4月1日の入学式を境に『はい、ピッと背筋伸ばして座って授業を聞いて!』とやると、むしろ本来の意欲を発揮できなくなってしまう。それなら幼児期の遊びを通した学びを小学校の授業に取り入れ、今までの子どもの経験を生かしながら段階的に普通の授業に移行していくのがいいというのがスタートカリキュラムの考え方です」(寳來さん)

 実際にどんな授業なのか、例として2019年4月に池上小学校の新1年生がスタートカリキュラムの最中に行った「プールの深さを測る」までの流れを見てみましょう。

 子どもたちは入学式の日から数えて3日目の学校探検の途中に、教室の窓から見えるプールが気になって話し合っていました。そこに、校長の寳來さんが通りかかると、「あっ、先生!」「ちょうどいいからあれを校長先生に聞けばいいんじゃない?」と子どもたちに声を掛けられました。

寳來さん 「どうしたの?」

子どもたち 「プールの深さを知りたいの!」「プールを造った人に聞けばいいんじゃない?」

寳來さん 「プールを造った人に聞かないと分からないかな? 考えてみて。プールの何を知りたいの?」

 どのように会話は続いたのでしょうか?

次ページから読める内容

  • プールの深さ、どうやって測る?
  • 遊びや複数の教科などをシームレスに接続する

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