6~7割は、転職先よりも現在の職場のほうが条件も環境も良い
兼吉さんに、ワーママの転職の動機にはどんなものがあるのか聞いてみました。「派遣や契約社員から正社員へ、あるいはその逆の雇用形態の変更のほか、環境の改善、自分の興味があることをやりたいという希望理由が目立ってきています。『働く理由』という本質的なところを考える人が増えているのかもしれませんね。女性は正義感・倫理観が男性よりも強いので、会社からの納得できない要求に対してストレスを感じている話をよく聞きます。特に、出産を経験すると、価値観がガラッと変わって社会的貢献度が高い仕事をやってみたいという気持ちが出てくる人もいます。例えば、『女性や子どもを支援する仕事をしたい』という声もよく聞きます」。反面、具体的に何をしたいのか、というレベルまで考えている人は少ないようです。
「カウンセリングで話を聞くと、ワーママの6~7割で現在の職場のほうが、転職先よりも条件も環境も良い場合が多いです。というのも、政府の呼びかけなどもあり、多くの企業で女性が働く環境が整ってきているからです。そのため、すぐに転職活動を始めるというよりも、まずは現職で働きながら、次にやりたいことへの準備を、具体的に期限を決めて行うということで落ち着くケースが多く見られます。結果的に、実際に転職する方よりもそのまま現職に留まる人が多いですね」。
ワーママの転職による年収の変化も気になるところ。大切なのは、キャリアを途切れさせないようにすることだと兼吉さんは話します。「ママになってもペースを落とさずバリバリ働き続けてきた人は高い年収を維持して転職を決めていきます。ワーママの年収は二極化していて、マネジメントを経験し年収500万円以上のハイクラス転職ができる人がいる一方で、子育てや家事の時間を確保しながら、年収300万円程度で働く人もいます。その中間の年収レンジは、ワーママよりも自由度が高く、吸収力がある20代の労働者との競合になるため、ワーママは不利になります」