仕事と育児の両立に毎日奮闘しているワーキングママ。時には、熱を出している子どもを預けながらも働かなければいけない状況に、いったい何のために働いているのだろうと立ち止まるときも……。そこで、各分野で活躍している先輩ワーキングママ5人に「私が働き続ける理由」をインタビュー。仕事と育児の両立方法など、2017年を楽しく乗り越えるヒントが満載です。

【共働きママたちの5つのストーリー なぜ私たちは働くのか? 特集】
第1回 アナウンサーママ 主婦を夢見た私が会社員を続ける理由
第2回 外交官から政治家転身 やりたいことのために頑張れる ←今回はココ
第3回 細川モモ 夫婦で育休取得、意識がフルモデルチェンジ
第4回 グーグル執行役員ママ 音が聞こえるほどメリハリ生活
第5回 イオンリテール常務ママ 育児も仕事も120%で走り続ける

松川るいさん 参議院議員。外務省の初代女性参画推進室長として活躍するなど、23年間築いてきた外交のキャリアから転身し、2016年7月参議院議員選挙で初当選。「知らなかったから飛び込めた」と振り返る未知の世界に悩み、戸惑いながらも日々前進し、限りある中でも家族と過ごす時間を大切にする小2、3歳の女児の母。

 2016年7月に参議院議員選挙の大阪選挙区で初当選した松川るいさん。それ以前は外務省の初代女性参画推進室長として活躍。日本政府主催の世界女性会議WAW!(World Assembly for Women)を担当し、日本の女性分野の取り組みを世界に発信し、国際的ネットワークを作るものとして高く評価されました。

 23年間外交の世界で仕事を続けた後、政治家へと華麗なる転身を遂げた松川さんですが、昨年7月の当選以降、新人議員としての道は苦労も多く、前進と試行錯誤、調整を繰り返す半年だったと振り返ります。現在、8歳の長女、3歳の次女の子育て真っ最中。そんな松川さんが、働き続ける理由とは?

国のもう半分がどうなっているのか見てみたい

 1年前は、まさか自分が政治家になるとは思っていませんでした。まさに、“Life is full of wonder.(人生分からない)”ですね。外務省の女性参画推進室長やWAW!の経験から声が掛かったのだと思いますが、突然選挙に出てくれと言われて、びっくりしました。

 そもそも外交が好きで外交官になり、やりがいもあったし、何の不満もありませんでした。また、政治家の仕事というのはいかにも大変そうなイメージもありました。お話をいただいたとき、娘は7歳と2歳。外務省の仕事でも子育てとの両立が大変なのに、さらに大変になるのは困ると。

 夫にも相談したら「まさか受けないよね」と言われ、それで、最初は「無理です」と申し上げたのですが、「まずは子どもがいる女性議員の話を聞いてみてもらいたい」と言われて、先輩議員のお話を伺いました。「確かに忙しいけれど、自分のスケジュールは自分で決められるから、精神的自由度が全然違う。それに、自分がこうしたいと思うあらゆる課題について、自分自身が主体となって取り組むことができ、とてもやりがいがある」というお話を伺い、「ありかもしれない」と、そこから真剣に考え始めました。

 実をいうと、私が女性参画推進室長をしていたときに、色々な国の方々とお話をする中で、日本の働く環境は本当に遅れているし、特に政治に女性が少ないのが問題だという意識がありました。そもそも、“普通に”子育てをしながらいきいきと仕事をしている女性議員像がないから、政治を目指そうという女性もなかなか出てこない。「松川さんがあんな風に子育てしながら国会議員をしているのなら、私も幸せを諦めずにできるかも」と一人でも多くの女性に思ってもらえるような女性議員の在りかたを自分が見つけてみたいと思うようになりました。

 もう1つは、政治の世界に外交についての理解を促進することが国益を守るうえで不可欠だという問題意識からです。英国のEU離脱により欧州が地盤沈下する中、ロシアと中国の存在感が増し、一方、トランプ氏の米国大統領がどのように世界に関与していくのか不透明になっています。国際政治は大きな転換期にあり、外交・安全保障における戦略的な国の舵取りが死活的に重要です。以前から、「国益のため、外交について理解のある政治家が増えることが重要だ」と思っていました。それで、私が外交をリアルに知っている政治家として国のために役立つこともあるのかもしれないと思うようになったのです。

 ただ、政治の世界をよく知らなかったから飛び込めたとは思います。外務省のある霞が関と議員会館のある永田町は隣り合っていて、同じように国のことを思い、国のために働いているのですが、全然違う世界です。

 もともと国益に関心があったので外務省に入り、23年間、世界と霞が関で働いてきました。この先、外務省にいたら、自分は評価していただいてそれなりのキャリアを歩むことができそう。そして、重要な国家間の交渉に携わるのだ……という夢もありました。それでも、転身を決めたのは、外交分野以外にも日本はこうすればもっと良くなるのにと思うところがたくさんあったというのもありますが、最終的には、「人生は1回。国のもう半分がどうなっているのか見てみたい」という好奇心が抑えられなかったことが根底にあったと思います。

<次のページからの内容>
・次女が黒い絵を描くように! 朝型生活へシフト
・松川るいさんの24時間スケジュール公開!
・【お宝おうちゴハン写真】拝見 時短の工夫
・私を支える言葉は【自分を信じる】 帰る場所がある幸せ
・【今年の抱負】インプットとアウトプット、そして家族の時間のバランスを整えたい