生粋の“都会モン”が二地域居住に興味を持った
株式会社weed seed 代表、NPO法人南房総リパブリック理事長、建築ライターなどの肩書を持つ馬場未織さんは千葉県南房総市の農家だった古民家を農地ごと購入。平日は都会で働き、週末は田舎で過ごすという「二地域居住」を実践しています。
都市生活者、特に遊び盛りの子どもを持つ家庭にとっては理想ともいえるライフスタイルですが、いざそれを実行に移すとなると費用や住まいの管理、地元とのコミュニケーションなど、ちょっと考えただけでも様々な困難が予想されます。
「もともと私は東京のマンションに生まれ育った生粋の“都会モン”だったんです。両親も都市生活者だったので『田舎のおばあちゃんの家』とも縁がなかったのですが、それでも特に不満もなく暮らしていました。ところが長男が生まれたことをきっかけに、都市生活に疑問を感じるようになったんです。
長男は物心がつくころには植物や虫、魚に興味を持ち、暇さえあれば図鑑を眺めていました。当然、見るだけでは飽き足らず、実物を求めて外に出かけるようになる。私も子どものころから、大の生き物好きだったので、わが子を連れて近所の公園に行くのですが、これがなかなかうまくいかないんです。虫もわずかしかいないし、草木を採集したり土を掘り返すことだって自由にできない。結局あれもダメ、これもダメになってしまうんですよね」