小学校のトイレにショック。「学校でうんちができない!」
前回の記事で、トイレトレーニング期が便秘症の始まりになることもあるとお伝えしました。同様に、小学校入学時も便秘症状が悪化しやすい時期です。
とはいえ、入学をきっかけに新たに便秘症になる子は少なく、もともと幼児期から便秘傾向があり、成長しても改善しなかった子が、入学がきっかけで本格的に便秘になるといったケースがほとんどだそうです。
「排便外来」で日々、子どものうんち問題と向き合っている、さいたま市立病院の中野美和子医師によると、小学生の2割は便秘ではないかと言われています。
「原因として、トイレ環境が大きく変わることが挙げられます。明るく開放的な保育園のトイレに比べて、小学校のトイレは『暗い・汚い・臭い』と感じる子も多く、洋式トイレの導入が完了していない学校もあったりと、学校でうんちをすることができなくなる子がいます。また、授業中に便意を感じてもトイレを我慢してしまう子が多いです。我慢すると直腸にうんちがたまり、次第にうんちがたまっても大丈夫な伸びた直腸になり、便秘症がなかなか改善しません」
男の子の場合は「トイレの個室に入るとからかわれる」という理由で、うんちを我慢してしまうケースもあるかもしれません。「うんちがしたくなったら、いつでも我慢せずにトイレに行こうね!」と普段からお子さんに話しておくことが大切です。
ストレスフルな小学生は腸がリラックスする暇がない
「最近の小学生はストレスを抱えている子が多いと感じます。当然、うんちにも影響が出ています。栄養バランスのよい朝ごはんをゆっくりと食べて、一息入れてからトイレでうんち、それから登校――といった理想的な朝の時間を送ることができている小学生は、一体どれほどいるでしょうか? 共働きっ子は、授業が終わると学童へ行きます。自分の家ではないのでリラックスはできません。そこからお稽古や塾に通う子もいます。ようやく家に帰ったらお母さんに『早くごはんを食べて、お風呂に入って寝なさい! 宿題はやったの?『』なんてせかされたら、たまりませんよね。慌ただしくお風呂に入り、慌ただしく寝る毎日の繰り返し。家でゆったりとできる時間がものすごく少ないのです」(中野医師)
共働き家庭が増えて、お父さんもお母さんもストレスを抱えています。毎日が忙し過ぎないか、子どもにストレスを与えていないか、「早く、早く」とせかしていないか、生活を振り返ってみましょう。
副交感神経が優位になるリラックス状態になると、腸がぐぐっとよく動くようになり、排便が促されますが、ストレスを感じていると、腸の動きが鈍くなります。小学生の便秘が増えている一番の原因は、こうしたストレスの積み重ねなのです。
では、小学生の便秘にはどんな対策が効くのでしょうか。次ページから具体的な対処法を紹介していきます。