子どもを保育園へ送り迎えするパパの数は、5年前に比べて確実に増えています。この特集では、出社時間に間に合うように早く家を出る努力でなんとかなる「朝の送り」に比べて、残業をしないためのタイムマネジメントや職場への能動的な働きかけが求められ、家庭での夜の育児にも関わる「夕方~夜のお迎え」に着目。そこにはきっと、パパたちなりの工夫や努力、葛藤があるはず――。そんな仮説を持って、保育園に今日も現れたパパたちをつかまえ、インタビューしてみました! 残業時間削減、有休取得率、男性育休取得率…といった数字だけでは見えてこない保育園パパたちの毎日の実態をあぶり出します。

【保育園パパたちの猛ダッシュな毎日 特集】
(1) 保育園パパ4人 お迎え担当の日の工夫と時間術
(2) 毎日家族で夕食 管理職パパはトライ&エラーで前進 ←今回はココ
(3) 週3日お迎え IT大企業マネジャーパパの葛藤

毎朝保育園までの道で夫婦の会話の時間を確保

 特集1本目では4人のパパにご登場いただきました。今回はさらに、アクセンチュアでシニア・マネジャーを務める管理職パパと、2人の保育園パパたちに「パパがお迎えに来られているのか?」「上司や職場とどのような交渉があって実現できているのか?」「パパが困っていること、葛藤、そこにはどんな壁があるのか?」「働き方で工夫していること」「お迎え後の夕飯準備や寝かしつけなどの工夫、夫婦の分担」「妻の声」について聞きました。

上端純平さん(34歳)

アクセンチュア勤務
子どもは4歳、妻はフルタイム正社員から個人事業主へ
保育園送りは週2~3回・迎えは週2~3回
残業時間は社員1人当たり1日平均1時間程度

 娘が生まれる前から、毎晩夫婦がそろって夕飯を食べられるような働き方を模索してきました。トライ&エラーの連続の中で大切にしてきたのは、夫婦の対話です。結婚したとき「これからどんな家庭をつくっていきたい?」「家族そろってごはんが食べたいね」などと基本的姿勢を話し合い、娘を授かってからは、家事育児についての考え方を事あるごとに共有してきました。

 私は初め「家事育児の発生によってやることが増え、自分の時間が奪われるな」と内心どこかで捉えていました。でも、やらされ感が満載のTO DOになってしまうと、やっつけ仕事になったり時間に追われている焦りや疲労感が生まれたりするだけ。そうではなくて「家事は私たち自身の生活を支える基盤作りの時間なんだよ。子どもと向き合う素敵な時間を私が独り占めしたくない」と前向きに取り組めるよう常に声掛けしてくれたのは妻でした。

 自分が主体となってワクワクしながら能動的に動いたほうが、気持ちは断然楽。その結果、子どもはパパを好きになってくれ、子育て時間をより楽しめるという好循環も生まれました。

 娘が小さかったころは、毎朝、妻と保育園まで一緒に15分歩いて仕事のことや家庭のことを話しました。互いに鬱憤がたまる前に吐き出せる場があったことは、大きかったと思います。私たちは夫婦げんかをけんかとは定義づけずに「激しい議論」と呼んでいて、まれにそれが起きます。でもコミュニケーションが十分に取れていないことの、一つのバロメーターと考え、日々伝えられていないことを伝え合って問題を解決していきます。

 年末と夏の年2回は家族会議を開きます。仕事・家庭・自分自身における課題やこれからの希望を付箋に一つ一つ書き出し壁に貼ってシェアするのですが、最近は娘がまねをして、付箋に何か文字を書き、一緒に貼っていますね(笑)。

 今、保育園への送りは基本的に私が担当していますが、お互いの仕事の都合に合わせて妻と適宜交代しているので、お迎えは週に2~3回。お迎えがある日は18時に会社を出て18時30分に保育園に着き、19時前に帰宅するスケジュールです。お迎え担当でないほうも19時までに帰宅し、家族がみんなそろって夕飯を食べるようにします。もちろん、仕事の繁忙期でどちらかがいない日もありますが、そこは大切にしたく、シニア・マネジャーの今も続けている習慣です。

写真はイメージです
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<次のページからの内容>
● 仕事は早い段階での瞬発力を意識
● 個人の強みを生かすマネジメントにシフト。生産性アップにこだわる
● 睡眠、運動、姿勢などに気をつけペースを取り戻す努力をした
● 帰りが遅い日は、妻から娘の泣き顔のFaceTimeがかかってきた
● 育児のちょっとした「悲惨な状況」を楽しみに変える