子どもを保育園へ送り迎えするパパの数は、5年前に比べて確実に増えています。この特集では、出社時間に間に合うように早く家を出る努力でなんとかなる「朝の送り」に比べて、残業をしないためのタイムマネジメントや職場への能動的な働きかけが求められ、家庭での夜の育児にも関わる「夕方~夜のお迎え」に着目。そこにはきっと、パパたちなりの工夫や努力、葛藤があるはず――。そんな仮説を持って、保育園に今日も現れたパパたちをつかまえ、インタビューしてみました! 残業時間削減、有休取得率、男性育休取得率…といった数字だけでは見えてこない保育園パパたちの毎日の実態をあぶり出します。

【保育園パパたちの猛ダッシュな毎日 特集】
(1) 保育園パパ4人 お迎え担当の日の工夫と時間術 ←今回はココ
(2) 毎日家族で夕食 管理職パパはトライ&エラーで前進
(3) 週3日お迎え IT大企業マネジャーパパの葛藤

日ごろから夫婦のコミュニケーションを大切に

 今回の突撃インタビューにご協力いただいたのは、全員が会社勤めか公務員という、決まった勤務時間に働くパパたち。「パパがお迎えに来るのはどうして実現可能なの?」「上司や職場とどのような交渉があって実現できているの?」「困っていること、葛藤、そこにはどんな壁がある?」「働き方で工夫していることは?」「お迎え後の夕飯準備や寝かしつけ、夫婦の分担は?」「妻はどう思っている?」の質問をぶつけてみました。

 まず「朝の送りは週2回くらい、お迎えは週3回くらい」というAさんに、詳しく聞いていきます。

Aさん(45歳)

小売り勤務
子どもは5歳、妻はフルタイム正社員
保育園送りは週2回・お迎えは週3回
残業時間(月平均)は30時間未満

 夫婦がフルタイムで働くわが家の家事育児は「そのときに、できるほうがやる」。特に話し合って決めたわけでなく、自然とそんな姿勢でスタートし、子どもが5歳になるまでの5年間で完全に板についてきたという感じです。できるほうがやってしまおう、という気持ちが二人にあるので、基本、フェアです。

 以前に一度、「自分ばかり洗濯もゴミ捨てもして…」とそのとき不満に思っていたことを妻にぶつけたところ、妻がブチ切れ、それぞれが主に担当していた家事育児の細かい色分け表を作ってきたことがありました。それによると、私が多くやっているものもあれば、妻が多くやっているものもあって、1週間でならすとうちって完全にフェアだということが可視化されたんです。日々のスケジュールや条件は変動するものなので、一時的にどちらかに負荷が多いように見えることはあっても、別のときはまた違うほうに負荷がかかるのでお互いさまで、日ごろからできるほうがやって協力し合えばいいんだと実感し、不満を感じることはなくなりました。

 保育園の送り迎えも「そのときに、できるほうがやる」です。私の職場はシフト制で土日出勤が普通にあり、代わりに平日に休みが入るため、平日の2日は私が送りも迎えも担当します。4歳になるくらいまでは私が朝の担当と決まっていましたが、子どもが「ママと一緒がいい~」と言い始め、それからは朝の送りは3日間、妻の担当になっています。

 仕事のやりくりと夜の家事育児を滞りなく回すために、日ごろから夫婦のコミュニケーションはとても大事だと考えます。職場のシフトが発表されたらすぐにiPhoneのカレンダーに書き込み、飲み会や趣味・行事がある日、帰りが遅くなる日をそれぞれが書き込んで共有します。子どもの予定もここに書き込み、何かあればすぐに確認しています。さらに、朝出かけるときに必ず「今日は19時過ぎるから、お迎えお願いね」と互いに念押し。予定変更があれば、すぐにスマホのメッセンジャーでやり取りします。

 私が平日休みでない日は、妻がお迎えに行きますが、私も順調に会社を出られるときは一応「今から出るけど、どっちが早いかな?」とメールします。妻は結構ギリギリまで仕事をしているので、私のほうが1分でも早く着きそうなときは、私がお迎えに行き、妻は家に真っすぐ帰って、夕飯の準備に着手します。

 保育園は延長保育を利用しているので、お迎え時間は19時。それに間に合わせるために、妻も私も職場を遅くとも18時15分に出なくてはいけません。ちなみに、延長保育は1年単位の申し込みで、希望者が多い年は利用できません。実際、2年前は枠に入れずお迎え時間は18時で、たまに遅れて割高なスポット延長を利用していました。

写真はイメージです
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<次のページからの内容>
● 15時から加速モード。17時以降はNOメール、NOアポ
● 3種の神器を買いそろえ、機械に任せられるところは任せる
● 周知と前倒しは必須。資料作成は相手によって戦略的に
● 当日はLINEで連絡、繁忙期は週次スケジュールをメール共有