摂食障害とは、体重や体形に強いこだわりを持ち、極端な食事制限や過度な運動が止められなくなる精神疾患のこと。日本小児心身医学会のパンフレットによれば、摂食障害は一般的に女子に多いものの、最近では男子の報告もあり、また小学生の発症が報告されるなど低年齢化しています。前編の今回は、高学年の親が知っておきたい摂食障害の知識について、思春期の子どもの心の専門家である初台クリニックの関谷秀子さんが解説します。

【年齢別記事 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 低年齢化する摂食障害 思春期の「やせ願望」に注意 ←今回はココ
(2) 「親が作った料理を毎回残す」背景に親離れ子離れ問題
(3) 勉強嫌いのわが子、やる気のスイッチをオンにするには?

どんなにやせても「太っている」イメージから抜けられない

 思春期の子どもの中には、ダイエットを意識し始める子もいるでしょう。しかし、「やせることが素晴らしい」と考え、体重や体形に強いこだわりを持ち、食事制限や過度な活動をすることをきっかけに、「摂食障害」となる場合があります。

 摂食障害とは、食事の量や食べ方などの異常が続き、体重や体形にこだわるなど、心と体の両方に影響が及ぶ病気の総称です。必要な量の食事を食べられない、食べ過ぎる、食べたものを吐いてしまうなどの症状があり、代表的な病気には、「神経性やせ症」と、「神経性過食症」があります。

画像はイメージ
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 「神経性過食症」になると、食べることがやめられなくなります。普通では考えられないような量の食べ物を食べますが、体重が増えることへの恐怖は強いので、嘔吐(おうと)したり下剤を使ったりして無理に体重を減らそうとします。ただし、これは小学生の子どもにはあまり見られません。

 子どもに多く見られるのは、「神経性やせ症」です。「神経性やせ症」は、「やせて友達からカッコいいと言われたい」というやせ願望や、「もし太ったらみんなにバカにされる」といった肥満への恐怖から、過激な食事制限や運動をします。そしていくら体重を減らしても、周りが心配するようなガリガリの体形になっても「太っている」というボディイメージから抜け出すことができません。ここが通常のダイエットとの大きな違いです。

 摂食障害はある日突然なるわけではなく、徐々に兆候が表れます。お子さんに次のような様子が見られることはないでしょうか? それはお子さんのSOSのサインかもしれません。


 次のページから、摂食障害のサインや、行動について、関谷先生に詳しく解説してもらいます。