時に迷い、立ち止まりながらも、自分流の働き方や幸せを模索している働くママたち。今回登場してもらうのは、サントリーの人事部門の社員で、社内のダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みの一環として、障がい者雇用を推進している平岡典子さん。平岡さんは、現在ダウン症の14歳の息子さんと、9歳の娘さんを育てる母親です。もともと仕事が大好きだったという平岡さんですが、息子さんの出産後は、復職への悩みを抱えながら、自分らしく働ける方法を模索してきたそう。そんな平岡さんに、障がいのある子どもを育てる母としての思い、そして仕事と育児の両立について話してもらいました。

(前編)仕事の楽しさ実感する中、生まれた息子はダウン症だった
(後編)障がいある子を預けて復帰 人事ママを支えた言葉は ←今回はココ

◆今回登場するワーママ:平岡典子さん
年齢:46歳
これまでの仕事:サントリー(人事→役員秘書→人事)
現職:サントリー
住まい:神奈川県
子ども:14歳(中2)息子、9歳(小3)の娘

◆働き方に迷った理由
生まれた息子がダウン症だったこと

◆「わたし流」の働き方をかなえるためにした選択
選んだもの…自分らしく気負わずに、子育てと仕事を両立させること
諦めたもの…諦めたものはない

 息子がダウン症であることを受け入れてからは気持ちも楽になったという平岡さん。生後3カ月目にして初めて息子が見せてくれた笑顔が心の支えになったとはいえ、育休中は復職へのふんぎりがつかずに悩み続けたと言います。

復職に向け迷う私へ夫がかけた言葉

 息子の育児に奮闘するようになった私ですが、育児に向き合いながらぼんやりと思っていたのは「仕事は辞めなくてはいけないだろうな」ということでした。

 元来、仕事を通じて人を支えられることに喜びを感じていた私ですが、当時の私は、息子の人生を支えていくという現実を前に、仕事を通じてさらに息子以外の誰かを支えることはもう無理なのではないか、息子以外の誰かのために、自分の時間を使ってはいけないのではないかと感じていました。

 こうして一人、悶々(もんもん)とする中、当時の上司にも「もう会社には戻れないかもしれない」という思いを伝えました。すると上司から返ってきたのは「今はまだ、辞める、辞めないということは結論を出さなくていいよ、ゆっくり考えればいい」という言葉でした。今振り返っても、この時に上司のこの返答がなければ今の自分はなかったのではと思い、とても感謝しています。

 会社への復職を選ぶ場合、1歳半までに決断する必要がありました。しかし、何があっても息子を守らなければならないという思いが膨らみ、あんなに好きだった仕事に戻る決断がなかなかできないままに時間ばかりが過ぎていきました。

 1歳半のタイムリミットが差し迫ってきたある日、夫が提案したのが、復帰するメリットとデメリットを書き出して整理したらどうか? というもの。夫は辞めるにしても、復職するにしても、私自身の納得が一番大事だという意見でした。

 私の最大の悩み、つまり復職のデメリットは、体の弱い息子が、園生活を送る中で病気になってしまうことへの不安でした。すると再び夫から言われたのは「このデメリットをメリットに変えられる方法があれば、会社を辞めずに済むのではないか?」という言葉でした。

 そこで療育の先生など、専門家に相談したところ「健常な子と同様で、小さいうちに病気にかかることで、体が強くなる」「他の子どもたちと過ごすことで、成長を促すことができる」といったアドバイスをもらい、不安を和らげ復職問題を解決することができました。

「息子が4歳から始めたヒップホップ。息子にとってダンスは趣味の1つです」(平岡さん)
「息子が4歳から始めたヒップホップ。息子にとってダンスは趣味の1つです」(平岡さん)

次ページから読める内容

  • 復職してとりやすくなった気持ちのバランス
  • 苦しかった2人目の妊娠
  • このままでいいのかという不安と葛藤
  • 自分らしく生きてほしい

続きは、日経xwoman登録会員の方がご覧いただけます

ログインはこちら
もっと見る