もはや「学歴」には頼れないこれからの時代。子どもたちが将来的に世界で活躍できるようにするために、家庭では何ができるのでしょうか。

特集の第4回は、ニコニコ動画などのデジタルコンテンツやサービスを提供するドワンゴの代表取締役社長、慶応義塾大学大学院特別招聘教授など、さまざまな分野で活躍する夏野剛さんです。2人の子どもを持つ父親でもある夏野さんに、グローバルな子どもを育てるために大切なこととは何か、実際に夏野さんのご家庭でどんなことを実践しているのかなどについて伺いました。

【グローバル人材が育つ家 特集】
(1) 将来世界のどこでも活躍できる「3つの能力」とは
(2) 竹内薫 リビングの本棚から教育は始まっている
(3) 「国際人として使える英語」の学び方と必要な努力
(4) 夏野剛 多様性を受け入れ、尖った才能で突き抜けろ ←今回はココ
(5) 海外移住成功の鍵は「アウェーを生き抜くメンタル」
(6) 海外でも日本でも親にできることは「環境作り」だけ

グローバリゼーションにおいて最も大切なのは「多様性に対する受容性」

 将来、海外で活躍できるような人材になるために、最も大事なこととは何でしょうか? 英語、プログラミング、自己肯定感……色々思い浮かびますが、自身も海外から高く評価されるグローバル人材である夏野剛さんは、「大事なことは二つだけ」と話します。

 「一つは、“多様性に対する受容性”です。具体的にいうと、生活やコミュニケーションのスタイル、生まれ育った文化など人間としてのバックボーンが自分とは全く違う人に対して、真正面から向き合って、その意見を受け入れたり、相手の立場になって考え方を理解できたりするかどうか。これがグローバリゼーションにおいて最も重要なことだと考えています」

 夏野さんは米国に留学していたとき、インドやロシア、中国など世界各国から集まった留学生それぞれのスタイルの違いに驚いたといいます。

 「インド人の英語は、なまりが強くてちょっと理解しにくく、物事の考え方もすごくクセがある。中国人同士が話しているのを聞くと、日本人から見ると怒鳴り合っているみたいに見えるけれど、『怒ってるの?』と聞くと、そうじゃなかったりします。

 そんなふうに、それぞれが母国の文化を背景としたコミュニケーションスタイルや考え方を持っているのですが、本来、それは当たり前のこと。グローバルな時代には、そこを受け入れ、理解した上で相手と話し合ったり、交渉したりする必要があるわけです。色々な違いがあっても気にせず、その人がどういう考えを持っていて、どんな能力があって、どんな意見を主張しているかということに興味を持つことが、“多様性に対する受容性”だと私は考えています」

 グローバル人材に必須の条件と夏野さんが考える、もう一つ「自分の『好き』を突き詰める力」って? 夏野さんが自分の子どもたちの教育で実践していることとは? 夏野さんの力強いアドバイスとともに、次ページから紹介していきます。

<次のページからの内容>

● 夏野流「グローバル教育」のエッセンスを図解で!
● 年齢や学歴などステータスで人を見ない
● 「ネイティブ並の英語力」は必要ない
● 「手に職を」「スキルが大事」というのは今や昭和の考え方
● 小学生のとき「好き」を追求したことが今につながった
● これからの公教育の役割とは
● 自我が目覚める小5~中2の時期が最も大事
● 中学受験はナンセンス