かわいいわが子のことを思えば、将来は「好き」や「得意」を生かせる職業に就いてくれるのが一番! でも、待遇面での安定を考えると、ただそれだけを応援していいものか……。アンケートでも垣間見えた、そんな揺れる親心。
 「大丈夫、子どもを信じる気持ちこそ、子どもを幸せにする一番の近道!」――幸福学研究と幼児教育の第一線で活躍するお二人が、自らの子育て経験も交えながら、力強いエールを送ってくれました。重要なキーワードだらけの対談です。ぜひ参考にしてみてください。

【子どもが幸せになる将来のおしごと 特集】
第1回  子に好きな道歩んでほしい親が多数 読者アンケート
第2回  好き・夢中を信じる力こそが子の幸せキャリアの近道   ←今回はココ!
第3回  私を後押ししてくれた「アシスト賢母」の言葉と教え
第4回  子どもを持つ親に人気「グローバル企業」のリアル
第5回  4つのスキルさえあれば、子どもが世界で通用する

前野隆司さん
山口県生まれ、広島県育ち。東京工業大学大学院修士課程終了後、キヤノンに入社。エンジニアとしてカメラレンズやロボットハンドの開発に携わった後、カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、ハーバード大学客員教授を経て、慶應義塾大学理工学部教授に就任。現在、同大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授を務める。幸福学、ヒューマンインターフェース、共感学など幅広い領域で研究を行い、企業経験に則った“実践に役立つ研究成果の発信”に定評がある。『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』(講談社現代新書)、『脳は記憶を消したがる』(フォレスト出版)など著書多数。

河村都さん
東京都生まれ。幼稚園教諭時代、NHK教育番組『おかあさんといっしょ』に出演。洗足学園短期大学(当時)非常勤講師、知育教室「こどもの部屋」主任講師として幼児教育に携わった後、情報関連サービス企業にて人材教育責任者、社長室長、お客様相談室長を務める。25年の会社員人生を経て、2007年にオフィスカワムラを設立。幼稚園や保育園へのコンサルティングや講演、お母さんの悩み相談を受ける「ママズトーク」開催などの活動をする。著書に『子どもを伸ばす「いいね!」の言葉 「ダメ!」な言葉』(講談社)など。最新刊は祖母世代の新たな生き方を提言する『子や孫にしばられない生き方』(産業編集センター)。

子どもは本来、自分で「好き」を見つける天才

前野隆司さん(左)と河村都さん(右)
前野隆司さん(左)と河村都さん(右)

河村都さん(以下、敬称略) 前野先生のご本、すごく勉強になりました! 幸せな生き方を決める因子を探るという研究、とても面白いですね。セルフチェックをやってみたら、高得点でうれしくなっちゃいました。

前野隆司さん(以下、敬称略) 河村先生が人生を幸せに歩んでこられたことはお顔からにじみ出ていますよ。ご自身が経験された育児の方針も大変ユニークだったと聞き、じっくり伺うのが楽しみです。

日経DUAL編集部 学術研究と教育現場のそれぞれのお立場で「幸せな生き方とは?」を追求していらっしゃるお二人に、今日は「子どもが将来幸せな職業選択ができるために親ができること」について教えていただきたいと思います。子どもには好きな道を歩んでほしいと思う一方で、それがいばらの道と分かっていながら応援する自信はないという声は多く挙がります。特にDUALの読者は夫婦共に実社会で働いていて“仕事の現実”も知っているからこそ、つい先回りしたアドバイスを送ってしまう傾向があるようです。

河村 お母さんたちが先回りしてしまう現状というのは、私が普段伺っている幼児教育の現場でも、本当によく見られますね。子どもが2歳になるくらいから「何を習わせたほうがいいかしら?」「将来のためになる学校選びは……」と情報収集に夢中なんです。でも、そうやって親が先回りして選択肢を用意して子どもに何でも与えるのは、肝心の鯛がどんな魚か、どうやって鯛を釣るのかを教えないのと同じじゃないかしらと心配になってしまいます。

前野 おっしゃる通りですね。本来であれば、子どもは自分の興味や関心を察知する天才で、放っておけば自然と自分が好きなことや楽しいと思えることを見つけられるはず。何もない環境の中でも外に飛び出して走り回るだけで面白がれるのが子どもであり、束縛のない遊びの中から「野球が好き」「虫が好き」と興味のモトを見つけてくるもの。親が情報ばかり集めて、「これとこれとこれの選択肢から選びなさい」と押しつけると、子どもが自分で探し選ぶ力が育たないんですよね。

河村 マニュアルに従うことや、周りの親子と足並みをそろえることでしか安心できない親が増えているとも感じます。

前野 今の大学生もそうなんです。混然とした中から自分で一つを選び取ることができないので、就職活動もとりあえず手当たり次第エントリーする。どこにも強い気持ちが入っていないから、結果はどこからも落とされる。豊かな時代ならではの弊害なのかもしれませんね。一方で、私も親ですから、わが子の将来を案じてつい何かと手を出してしまう気持ちもよく分かります。その点、河村先生はご自身の子育てではどうされてきたんですか?

<次ページからの内容>
・放任主義の究極形!小学校入学時に娘に伝えた一言とは?
・親が縛りつけると、かえって子どもは反発する
・親が仕事を楽しむ姿を見せることが、子どもの夢を見つける力を育む
・お金を稼ぐとずっと幸せになれる、はウソ
・周到なレールの上で育つのは「優秀な下っ端人材」
・幸福学者が「子育てに成功した」と思えた瞬間
・家族で「幸せカルタ」のすすめ、河村さんが作った一部を紹介!

次ページから読める内容

  • 小学校入学時に「毎日学校に行かなくていい」
  • 本人のスイッチが入るときを待つ。親には忍耐力が必要
  • 親自身が幸せを追求することが最高のキャリア指南になる
  • 幸福度を決定づけるのは夢、つながり、人生をコントロールできている実感
  • ロックを経たから学問に出会えた。人生に無駄はない
  • 親子でポジディブワードを出し合う「幸せカルタ」が夢探しにも

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