「叩かない子育て」「どならない親になる方法」……、子育てノウハウは様々あります。自治体などが提供する子育て方法を学ぶ場には、どんな親達が、どんな気持ちで参加しているのでしょうか? 今回お集まりいただいたのは、働くママ3人。3人は公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン主催、東京都豊島区後援の「ポジティブ・ディシプリン」を学ぶ連続プログラムに2015年に参加したメンバー。このプログラムは2016年9月から第9回が開催されており、午前10時から正午まで、毎週火曜日、全9回のプログラムで12人のママが参加しています(文中は仮名)。なお、ポジティブ・ディシプリンの内容は、「子どもを叩いてはいけない。ならどうすればいい?」で詳しく紹介しています。あわせてお読みください。

【「子どもの虐待&DV 私達はどうすれば…」特集】
第1回 一歩間違えば、私も子どもを殺してしまっていたかも
第2回 児童虐待10万件超え時代の“駆け込み寺”リスト
第3回 子どもを叩いてはいけない。ならどうすればいい?
第4回 母親座談会「何度言っても聞かない。ついカーッと」 ←今回はココ
第5回 あなたも、DVを受けているのかもしれない
第6回 DV家庭で育つと子どももDV加害者になる?

鈴木淑子さん(仮名、以下、敬称略) 小1女児、年少男児の母。団体事務職。娘が学校から持ち帰ったプログラムのチラシを読んで、初めてポジティブ・ディシプリンを知る。「毎週1回だけとはいえ、2カ月間もあるので迷いましたが参加することに」。

加賀真美子さん(仮名、以下、敬称略) 小6と小3の男児を持つ母。整理収納アドバイザーで、家政婦をしながら整理整頓をする仕事などをしている。3年前に小学校の家庭教育推進員の活動の環として勉強会に参加したのがポジティブ・ディシプリンとの出合い。「そのときは合計2時間のプログラムで勉強して、区内の保護者の前でまとめの発表をしました」。

川上すみれさん(仮名、以下、敬称略) 小6男児、小1女児の母。フラワーアレンジメント講師。ポジティブ・ディシプリンを知ったきっかけは、やはり小学校の家庭教育推進員の活動で。「託児があると聞き、とりあえず行ってきます、というノリで」。

ポジティブ・ディシプリンを学ぼうと思った動機は、三者三様

川上すみれさん(仮名)
川上すみれさん(仮名)

日経DUAL編集部 皆さんが連続プログラムに参加して、ポジティブ・ディシプリンを学ぶことにした理由を聞かせてください。

鈴木 子育ての手法や考え方に興味があったんです。それまでも保育園の子育て講座に参加したり、コーチングに関する本を読んだりはしていて。子どもが学校から持ち帰ったチラシを見て、仕事との兼ね合いもあって結構迷いましたが、思いきって参加してみることにしました。

加賀 今回私は正直、あまりプログラム参加に対して前向きではなかったんです。私がお誘いした方がやむをえない事情で参加できなくなってしまって、最後の席に入れていただきました。

川上 私は少し前からポジティブ・ディシプリンを知っていたのですが、今回改めて深く学びたいと思いました。というのも、長男が典型的な“男子”で……。息子がまだ小さいころ、地元の保健師さんに「息子さんのことを褒めることがありますか?」と聞かれたことがあったのですが、「『ごはんを全部食べてすごいね』……ぐらいでしょうか」というありさま。そのとき「息子さんは8割褒めて、叱るのは2割にとどめて」と助言されましたが、そんなの無理ですよね。今も当時の状況と大して変わりません。

 「伝えたいことがあれば何度も言い続けることで、親の思いは伝わる」という子育て本も読んだのですが、「もう同じことを何百回言っているんですけど!」という感じで。「うちの子に何か問題でもあるんじゃないか?」「この本の著者には子どもに関する悩みがないのでは?」なんていう思いすら募ってきて。

 小学校の家庭教育推進員になったのをきっかけにポジティブ・ディシプリンを知って、自分で他の保護者に説明しなければいけない段になって「なるほどね」と腑に落ちました。「自分の子どもに向き合えばいい」というメッセージにとても共感できたんです。

今の親は「叩かれて育ってきた世代」!?

―― 今まで目にした子育てノウハウとは違っていたのですね。

川上 これまで目にしてきたものは「子どもとはこういうものだ」と、決め付けるような見方をするものが多かったように感じます。でもポジティブ・ディシプリンは、子どもの発達段階に合わせて、その子を受け入れた上で子どもとの関係を考える。押し付けではない感じがして、私には入りやすかったんです。特に私の場合、学校がきっかけでしたから、ポジティブ・ディシプリンを共に学ぶ親同士で、深いつながりを持てたのもうれしかったですね。

 でも、体罰とポジティブ・ディシプリンが、自分の中で最初はうまく結びついていなかった。子どもの生命に関わる場面では、「どうしても叩かなくてはいけないこと」があると思っていて。「叩いてでも引き戻さないと」という緊急時、という意味です。でも、「そうじゃないときに、叩くってどうなんだろう?」って思うようになりました。

 だって世代的に叩かれながら育ってきた世代ですからね、私達。

―― というと?

<次ページからの内容>
・ 部活動で叩かれて鍛えられた“親”世代
・ 叱らないと子どもになめられる?
・ 発達障がいの子どもを持って……
・ これまでの子育てを振り返り、後悔することも
・ 子どもは年齢に応じて成長度合いが違うことに改めて気付いた
・ でも夫は「権力を表現すること=叩く」と考えているタイプ

次ページから読める内容

  • 中高生時代のバレー部は「叩かれてなんぼ」の世界だった
  • 叱ることができず、子どもになめられるようになってしまった親も
  • 新しい考え方は“異物”。自分のものにするには、時間がかかる
  • 何度言ってもテレビを消さない。何回言っても全然聞いていない。ついカーッと
  • 自分の子育てを振り返ると同時に、自分の親がしてくれたことを思い出す
  • 子育てに関して思いを巡らすときの“出発点”を植えつけてもらった
  • プログラム後、声かけが変わり、前ほどは叩かなくなった! でも……
  • 母親がどんなにいい子育てをしようと努力していても、結局責められるのは母親
  • 親が変わったら、子どもも変わった
  • 「今度はこのボールを投げてみようかな?」「あれ? 意外とスカだった」

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