地方の現状を何とかしたいと立ち上げたプロジェクト
セカンドハウス、キャンピングカーよりもっとお手軽に地方、すなわち日本の田舎の魅力を味わう方法もあります。秋田県にある「シェアビレッジ」は年会費を払うことで誰でも“村民”になることができる画期的な施設なのです。このプロジェクトの発起人、武田昌大さんにお話を伺いました。
「プロジェクトを立ち上げたのは衰退していく地方の現状を何とか再生したいと思ったのがきっかけです。私は秋田県北秋田市出身で、大学進学を機に都市部へと移住したのちに、東京で就職したのですが、都会に比べて閑散とする故郷の様子に大きな危機感を覚えたんですね。帰省すると商店街はシャッター通りになり、県の人口減少が進んでいましたから」
武田さんはそんな故郷を変えるべく、まず全国3位の生産量を誇る秋田のお米をインターネット販売するプロジェクトに取り組んだといいます。
「秋田県は全国の生産量のおよそ6%を占めるといわれる米どころです。そこで考えたのが上質な純米をネットを使って直接販売する仕組みでした。じつは中間流通業者を通して流通する一般的なお米は複数の農家のお米をブレンドして販売しているのですが、そこを秋田の若手農家達と協力して、単一農家による混じり気なしのお米として販売したんです。『トラ男米』と名付けられたこのお米はおかげさまで大変好評をいただいており、ここ5年で初年の60倍にまで出荷量が増えています」
トラ男米で秋田の産業の活性化を図る一方、移住や定住につながるような交流拠点の必要性も感じていた武田さん。今度は秋田県南秋田郡五城目町に「村」をシェアするという斬新な発想の施設をつくることになります。
それが「シェアビレッジ」なのです。次ページからはシェアビレッジの成り立ちや実際の利用費用など、詳しくお伝えします。