オンライン授業やオンライン留学、リモートワークでは、画面越しに相手と議論を交わしたり協業したりすることが求められます。必要に応じて自分の意見を的確に伝え、存在感を示すためのスキルは、今後AIに取って代わられない能力としてますます注目を集めていくはずです。未就学児から身に付けたい「伝わる話し方のコツ」や、ビジネスパーソンであるママ・パパの仕事にも役立つ「クリティカル・シンキング」など、親子で取り組みたいスキルアップノウハウをお届けします。

 「自分の考えや話したいこと自体はあるけれども、どうやって伝えていいか分からない、言葉が見つからない」

 わが子が意見を言えない原因が、「低学年までに知っておきたい 話すことが楽しくなるコツ」で紹介したうちの「語彙力不足」の場合、語彙を増やすための工夫を取り入れてみましょう。家庭でできる方法について専門家に聞きました。

 「幼児から小学校低学年くらいまでは、語彙を増やしていく大切な時期です」と、学習・教育アドバイザーの伊藤敏雄さんは言います。

 「逆に言えば、低学年くらいまでは、何かを子どもに問いかけたときに上手に自分の考えや意見を言えないことは当然のことだと考えてください。なぜなら、大人と子どもとでは、語彙が圧倒的に異なるからです。でも親子の会話をちょっと変えたり、遊びを取り入れたりするなど、家庭で子どもの語彙を増やす方法はたくさんあるのです」

 子どもに「語彙力」をつけたいと思ったときに、ママ・パパがやってしまいがちな、よくない方法があるそうです。

■教材を「与えよう」とする

 「語彙力をトレーニングするドリルのような教材を探してきて与える、ということを考える親御さんが多いです。ところが、『子どもにやらせなきゃいけない』という姿勢では、子ども自身が積極的になれず、効果は上がりません。子どもが受け身ではだめなんです。日々の生活の中で、楽しく語彙を増やしていけるような工夫が必要です」

■とにかく「意見」を言わせようとする

 「『意見を言いなさい』と子どもに強要しても、効果はありません。なぜなら、そもそも語彙力がなければ『意見を言うこと』はできませんし、語彙がなければ『自分で考えること』も難しいことだからです。また、人前で意見を言えない子の場合は、自分の答えに自信がないというケースもあります。そのため、子どもが答えに自信を持てるような、親の工夫も大切です」

■「YESかNO」で答えられるような質問をする

 「とにかく子どもに話をさせようとして、『AとB、どっちなの』などと二者択一の質問をするのも避けたいことです。YESかNOだけで子どもが答えても、そのあとに会話が続きにくく、積極的なコミュニケーションにはつながりにくいからです。子どもがもっとたくさんのことを話したくなるような、問いかけが必要です」

 では、子どもの語彙力アップのために、親はどんなことを心がければいいのでしょうか。その方法が、下の3つです。

 次のページから詳しく紹介します。