仕事と子育てで毎日がいっぱいいっぱい。インプットは大事と分かっているけど、とても手が出せない! 大半のワーママは、そんな気持ちで過ごしているでしょう。しかし、社会が変わり続ける中、子育て真っ最中のワーママであっても学び直しは必須の時代になってきています。本特集ではその理由を企業側の事情やキャリア形成の両面から紹介。いち早く学び直しを進めたママたちにも取材しました。学び直しの結果、異業種に転職したり、仕事の幅を広げたり、副業を始めたりした彼女たちの事例を通じて、タイムマネジメントの工夫、モチベーション維持のコツ、夫婦戦略などのノウハウをお伝えします。

勉強するために睡眠時間を削るのはNG

 資格を取得したり、語学力を上げたりといった学び直しは、毎日仕事と育児で忙しいワーママにとってハードルが高いと思われがち。ですが、効率的かつ効果的に学べるコツを踏まえていれば、時間がない中でも、高い目標を達成することは不可能ではありません。そこで、メタ認知などの認知心理学を研究している大阪大学名誉教授の三宮真智子さんに、ワーママにお勧めの効率的な学び方について聞きました。

 ワーママが学び直しをする上で時間の確保は悩ましい課題の1つ。睡眠時間を削って学び直しに充てるという人も多いでしょう。しかし、睡眠時間を減らして学びの時間を確保するのは逆効果になる、と三宮さんは警告します。

 「睡眠は非常に大きな力を持っています。十分な睡眠を取ることは、体のためだけではなく、脳のためでもあるんですよね。私たちは睡眠中、無意識のうちに、日中得た情報や知識を整理します。ですので、睡眠時間を削ってしまうと、大事な情報整理がうまくできなくなり、結果として、せっかく時間をかけて学んだことがきちんと頭の中に定着しなくなる可能性が高くなります。睡眠時間を削りすぎることは、学び直しに伴う一つの大きな落とし穴であり、注意すべきところだと思います。

 一方で、ショートスリーパーもいれば、ロングスリーパーもいるので、適当な睡眠時間は人それぞれです。これだけの時間を睡眠に充てないといけないという基準はありません。ですが、自分自身の、これ以上睡眠時間を削ると頭の働きが落ちるというラインを認識することが大切です。寝る時間と起きる時間、睡眠時間を数日間一定にしたときに、仕事や勉強中に眠くならず、育児や家事もスムーズにできれば、それが、その人にとっての適当な睡眠時間です。眠気がある場合は、睡眠時間を長く設定し、調節していきましょう」

 そして、脳に定着しやすくするための方法を知り、有効活用することが大切だと三宮さんは話します。それはいったいどういうことなのでしょうか。

 次ページからは、学び直しをする際の、時間管理や環境管理の方法、効果的なアウトプットの3つのコツを三宮さんに聞きました。

次ページから読める内容
●睡眠を利用した記憶術
●隙間時間の有効活用法
●CMの原理を利用した勉強法
●小さな子どもがいて騒がしい状況での効率的な学び分け法
●積極的に活用したいエピソード記憶
ほか