仕事と子育てで毎日がいっぱいいっぱい。インプットは大事と分かっているけど、とても手が出せない! 大半のワーママは、そんな気持ちで過ごしているでしょう。しかし、社会が変わり続ける中、子育て真っ最中のワーママであっても学び直しは必須の時代になってきています。本特集ではその理由を企業側の事情やキャリア形成の両面から紹介。いち早く学び直しを進めたママたちにも取材しました。学び直しの結果、異業種に転職したり、仕事の幅を広げたり、副業を始めたりした彼女たちの事例を通じて、タイムマネジメントの工夫、モチベーション維持のコツ、夫婦戦略などのノウハウをお伝えします。

同じことを続けることに不安を感じて学び直しに着手

 ビジネスのデジタル化が進むとともに、膨大なデータを統計学や情報工学などを使って分析するデータサイエンスという分野に注目が集まっています。今回紹介するのは、そのデータサイエンスの学び直しに取り組んだ、メディア関連会社に勤務するワーママの事例です。

 共働きで小学3年生の女の子を育てる渡辺洋子さんは、メディア関連会社のアンケートや調査データを扱う部署で働いています。異動してきてから約10年間、エクセルなどを使った分析方法にはあまり変化がなく、このままでは自分も部署も先細りになるのではという不安を持ち、学び直しに取り組みました

 週に1度、約7カ月間、データサイエンスのビジネススクールに通学。ゼロから学んだプログラミングは「全く知らない言語を学ぶのと同じような苦労がありました」。しかし「できることが増えていく喜びも得られた」と話します。また、勤務先がDX(デジタルトランスフォーメーション)に本格的に取り組み始めた時期に、率先して学び直しに取り組んだことで、社内の橋渡し役としてスキルを生かす場面もあるそうです。時間をどのように捻出したか、学び直しを通して感じたデータサイエンスを選ぶ意義、夫や子どもの反応などについて聞いていきましょう。

渡辺洋子さん
メディア関連会社のアンケートや調査データを扱う部署で働いている。小学3年生の娘と夫との3人家族。仕事に生かそうと2年前にビジネススクールでデータサイエンス(統計学、プログラミング、AIなど)を学んだ。

■学び直しの内容 データサイエンス
統計学や情報工学など複数の領域の手法を使ってデータを分析し、価値を生み出す分野のこと。データサイエンスの専門家であるデータサイエンティストは需要が高く、人材不足が叫ばれている。