仕事と子育てで毎日がいっぱいいっぱい。インプットは大事と分かっているけど、とても手が出せない! 大半のワーママは、そんな気持ちで過ごしているでしょう。しかし、社会が変わり続ける中、子育て真っ最中のワーママであっても学び直しは必須の時代になってきています。本特集ではその理由を企業側の事情やキャリア形成の両面から紹介。いち早く学び直しを進めたママたちにも取材しました。学び直しの結果、異業種に転職したり、仕事の幅を広げたり、副業を始めたりした彼女たちの事例を通じて、タイムマネジメントの工夫、モチベーション維持のコツ、夫婦戦略などのノウハウをお伝えします。

読書のメリットは大きく3つ。「学びモード」のスイッチに

 大学院へ通ったりオンラインの授業を受けたりすることだけが学び直しの手段ではありません。忙しいワーキングペアレンツにとって最も着手しやすい学び直しの手段は読書でしょう。国語講師で読書会も主催している吉田裕子さんは、読書による学び直しには、ワーキングペアレンツにとって次の3つの利点があり、働く親と相性がいいと話します。

■読書による学び直しが働く親と相性がいい理由
1 体系的に学びやすい
2 自分のペースで進められる
3 学びモードのスイッチ、栄養補給ができる

 詳しく聞いていきましょう。

1 体系的に学びやすい

 「ビジネス書や専門書は一般的に、著者だけでなく編集者の視点が入って構成されています。概要から入り、入門、基本、応用と進むように構成されているものが多いので、1冊を読み進めることで体系的に学ぶことができます。順序立てた学びを1人でも進められるのが、読書のメリットでしょう」

2 自分のペースで進められる

 子どもが急に熱を出すなど生活のリズムが崩れやすいワーキングペアレンツが大学院やオンラインでの学び直しを始めるのは勇気がいるものです。配信画像を見るにも、PCやタブレットを長く見る時間を取るのが難しく、画面を見ていると子どもがほかの動画を見たがって落ち着かないという人もいるでしょう。その点でも本による学びはおすすめだと吉田さんは言います。

 「読書なら自分のタイミングとペースで『今は4ページだけ進めよう』などのように決められます。また、起動に多少時間がかかる動画での学びと異なり、本はぱっと開けばすぐに学びが始められます」。お出かけの移動中や子どもが昼寝をしたときなど、いつ、どこで時間が取れるか分からないワーキングペアレンツにとって、本は最も身近な学びのツールと言えそうです。

3 学びモードのスイッチが入り、栄養補給になる

 家事、育児、仕事に追われていると、学び直すことにまで気持ちが追い付かない日もあるでしょう。そんなときも読書は「頑張る気持ちをチャージする心の栄養補給になる」と吉田さんは話します。

 「気持ちがたるんでしまっているときにビジネスパーソンの名言集や偉人伝、自己啓発的なビジネス書を開くと、『自分は本当はこういうことがやりたかったんだな』『こんなふうに成長したいと思っていた』ということを思い出させてくれます。自分のやる気を刺激してくれる本を用意しておき、読書そのものを学び直しモードのスイッチとして活用するといいですね」

 吉田さんは「ただ読むだけよりも、いくつかのポイントを押さえることで、読書がより深い学びにつながる」と話します。それは忙しいワーキングペアレンツにも可能なのだそう。次ページから詳しく説明していきます。

次ページから読める内容
●本の選び方は4つの場合分けで(2ページで解説)
 集中のしやすさと時間の長短に合わせる。いつ、どんな本を?

●深い学びにつながる3つのステップ(3ページで解説)
 付箋の使い方、貼った付箋の活用法、メモに入れるべき要素は?

●読書の効果を上げるプラスαの行動(3ページで解説)
 メディアミックスとワンブック・ワンアクション

●書名だけは知っているビジネス古典との付き合い方(4ページで解説)
 100%理解できなくても、今読むべき理由

●コロナ下を生きる働く親にとって読書の意義は?(5ページで解説)