子育てにおいてスマートフォンやタブレット、ゲームを避けては通れない時代になりました。子どもが受け身で動画を見たり、ゲームをしたりすることに、モヤモヤを抱える親は少なくないでしょう。小学校ではタブレットなどの端末の1人1台貸与も始まります。SNSやゲームをただ恐れるのではなく、子どもの主体的な関わりをサポートし、成長や学びに役立てることのできる、ポジティブ活用法を紹介します。

「禁止」や「放任」とは違うゲームとの付き合い方

 ゲームの時間について親子間でバトルになったり、いつから与えるか迷ったりと、子どもとゲームの関わりについて悩む親は少なくありません。警戒してなるべくゲームを子どもから遠ざける、あるいはプレイ時間を守らせること以外は放任、という親もいるかもしれません。

 「ゲームから学べることはたくさんあると思います」と東京工業大学・科学技術創成研究院准教授の長谷川晶一さん。小3と年少の男子2人のパパである長谷川さんは、子育てにおいてゲームをポジティブに活用し、それが歴史や社会の仕組みを知る、論理的な思考力を養うなど、子どもの多様な学びにつながっている実感があると言います。

 現在はバーチャルリアリティー(VR)の研究をしている長谷川さん。自身がパソコンに興味を持ったのも、小学生時代に父親のパソコンを使ってゲームをしていたことがきっかけでした。

 長谷川家は、工作や実験など自分で手を動かす遊びをたくさん取り入れる一方で、長男が年長の頃に、タブレット端末に『はらぺこあおむし』関連のゲームアプリを入れたのを皮切りに、ゲームを子育てに取り入れ始めました。ニンテンドースイッチを与えたのは小3から。PCゲームは、マウス操作が上手にできて、遊ぶために必要な字が大体読めるようになった小2になってからスタートさせました。

 「勉強や睡眠の時間を削るのはよくないので、やるべきことの時間のルールを決めて守ることは必要だと思いますが、やみくもにゲームを禁止すると、反動で大人になってからのめり込むかもしれません。子どものうちから付き合い方を少しずつ知るほうがいいとわが家では考え、積極的に取り入れてきました」

 「ゲームは、本やマンガなどと同じく、情報が満載で、様々なことを学べるメディアである」というのが長谷川さんの持論。ただ、ほかのメディアと異なり、ゲームは自分で機器を操作するなどして体験するもの。だからこそ親がちゃんと関わったほうがいい点もあると考えていると言います。

 どのように付き合えば、ゲームを学びにつなげることができるのでしょうか。長谷川さんが心掛けているポイントやゲームの選び方が分からない親向けのアドバイスなどを次ページから詳しく聞いていきます。

ゲームを学びにつなげるために、長谷川家が大事にしている4つのポイント (1)ゲームは遊びながら学べるものと親が認識する(前編で解説) (2)子どもの興味に合ったテーマのゲームを親が提案(前編で解説) (3)ゲームの内容について普段から親子でよく話す (4)「習得すると飽きるのが遊び」飽きなくなったら要注意
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