新型コロナに揺れた2020年。弱者になりやすい子育て世帯への支援は、自治体の本気度が問われる部分です。そこで今回の調査では、保育園・学童・病児保育の充実度に加えて、コロナ下で妊娠・出産する妊産婦へのサポート、ひとり親への支援、ICT教育、リモートワーク支援なども評価項目に加え、ウィズコロナ時代の「共働き子育てしやすい街」をランキングしました。

 2020年、子育て世帯や妊産婦は、新型コロナウイルスによりさまざまな厳しい状況に直面しました。自治体は、通常とは異なる環境で出産、育児を余儀なくされたり、経済面で不安を抱えたりした子育て世帯を支える施策を求められました。今年の調査(回答数は151自治体)では、保育園家庭への救済措置や、妊婦への上乗せ支援、ひとり親への支援、保護者が感染した場合の対策などについて、新たな質問を設けました。

 子育て政策に積極的に取り組んでいるランキング上位自治体は、こうした緊急事態にも細やかな施策を独自に打ち出しています。感染への不安を解消するための「オンライン対応」や、経済面での支援など、上位自治体の子育て世帯に向けた主なコロナ対応施策をリポートします。

保育園の休園や登園自粛、自治体の対応は

 コロナ禍で、共働き世帯に欠かせない保育園が休園や登園自粛となりました。4月から入所予定だったのに登園できず育休からの復職を延期したり、コロナによる解雇などで入所申込時の就労条件を満たせなかったりする人もいました。こうした家庭に向けて「何らかの救済措置がある」と回答した自治体は94.6%でした。

■保育園入園の条件を満たせなくなった家庭などに対して…

 具体的な救済措置の内容(複数回答)は、回答が多かった順に、「育休延長者に向けた復職期限の延長」(90.8%)、「登園しなかった日数分の利用料の免除、または日割り納付」(73.8%)、「元の就労条件を満たせなくても年度内の在園を認める」(14.2%)でした。

  緊急事態宣言下では、医療従事者など非常時でも保育が必要な家庭への、保育の提供も課題に。総合編2位となった東京都豊島区は、保育園の臨時休園期間中(4月10日~5月30日)、区立園を中核として周囲の民間園と連携しながら応急保育を無料で実施。また、応急保育を利用しない家庭やその他の子育て家庭に対しても、「保育園や子育てに関する情報をインスタグラムやYouTubeなどで発信し、子育て家庭を孤立させないように意識して取り組んできました」(豊島区保育課長、子育て支援課長)