新型コロナに揺れた2020年。弱者になりやすい子育て世帯への支援は、自治体の本気度が問われる部分です。そこで今回の調査では、保育園・学童・病児保育の充実度に加えて、コロナ下で妊娠・出産する妊産婦へのサポート、ひとり親への支援、ICT教育、リモートワーク支援なども評価項目に加え、ウィズコロナ時代の「共働き子育てしやすい街」をランキングしました。

 本記事では、調査結果から浮かび上がってきた保育園や学童保育の課題について、国内外の保育施策に詳しい日本総合研究所 上席主任研究員の池本美香さんとともに分析します。

待機児童数が減り、保育のニーズが変化

 「待機児童数は過去最少」――。今年9月、厚生労働省は希望しても保育所等に入れない待機児童の数が、4月1日時点で過去最少の1万2439人になったと発表しました。しかし、共働きの増加に伴い、保育ニーズは拡大しています。

 日経DUALと日本経済新聞社による共同調査「自治体の子育て支援制度に関する調査」で、政府が目標としていた2020年度末までの待機児童ゼロ達成の見通しを聞いたところ、「十分達成可能」「ほぼ達成可能」と答えた自治体の割合の合計は55%で、19年の55.3%と比べてほぼ変化がありませんでした。しかし「達成困難」と答えた自治体は、19年の5.3%から20年は14.8%に増加していました(回答数は20年=151自治体、19年=138自治体)。

 増え続ける保育ニーズに、自治体はどう対応していくのでしょうか。次のページから、以下の3つの課題と、親が知っておきたい知識について、池本さんに解説してもらいます。

1、「保育の質」向上のためには何が必要?
2、「将来の需要予測が難しい」という課題はどうする?
3、魅力的な学童保育をつくるには