新型コロナに揺れた2020年。弱者になりやすい子育て世帯への支援は、自治体の本気度が問われる部分です。そこで今回の調査では、保育園・学童・病児保育の充実度に加えて、コロナ下で妊娠・出産する妊産婦へのサポート、ひとり親への支援、ICT教育、リモートワーク支援なども評価項目に加え、ウィズコロナ時代の「共働き子育てしやすい街」をランキングしました。

首長が子育て政策に本気を示し、積極的に取り組む

 「共働き子育てしやすい街2020」特集の1本目では、総合編ベスト50自治体を紹介しました。今回は、その中でもトップ3に輝いた自治体を分析します。

 総合編1位の千葉県松戸市は、2017年の6位、18年の5位、19年の2位と、ここ数年間トップ10圏内に位置していました。また総合編2位の葛飾区は昨年のランキングで1位を獲得。同じく2位の豊島区は、17年に1位を獲得しています。

 つまりトップ3は、いずれも子育て支援に本腰を入れてきた自治体といえます。共通するのは、首長が子育て政策に本気を示し、積極的に取り組んでいるという点です。

 1位の松戸市では、本郷谷健次市長自らが「子どもを育てることは社会的な責任であり、未来への投資である」というメッセージを発信。子育てと仕事の両立支援を市の最重要政策の一つに位置付け、待機児童問題や学童保育の整備などに取り組んできました。「その思いが市の職員にも浸透していると感じます」(同市の担当者)

 2位の葛飾区では区長が定期的に保育現場を訪問し、現場のニーズを聞きとり、施策に生かしています。「病児・病後児保育なども積極的に開設してきました。継続的に取り組んできたことが評価されているのでは」(同区子育て支援部育成課長)

 また豊島区は、2014年に東京23区で唯一の「消滅可能性都市」とされたことをきっかけに、「子どもと女性にやさしいまちづくり」を積極的に推進してきたといいます。

 加えてこれらの自治体は、「コロナ下での子育て世帯への支援」という点でも取り組みが目立ちました。

 具体的にどんな施策を展開してきたのでしょうか。次のページからは、松戸市、葛飾区、豊島区の評価ポイントや、コロナ下で行っている子育て世帯への支援策について、調査内容や各自治体の担当者への取材を基に、具体的に紹介していきます。