「ほんっとやってらんない」。そんな出来事に遭遇したとき、どう対応するかは人によって大きく異なります。ビジネスの場であっても夫婦間であっても、意見の相違を我慢してやり過ごすのか、もしくは理解し合ったり周りを味方につけたりするために話し合うのか。うまくいくかどうかは別として、交渉する人生、交渉しない人生のどちらを選ぶのかは自分次第。さて、得をするのはどっちの人生? 自分の人生の主導権を握る、交渉のノウハウを特集します!

 共働き夫婦にとって、家庭における家事や育児をどうシェアするかは、今後のキャリアにも響く重要な問題。今の状態は夫婦が互いに納得できているものでしょうか? もしどちらかが問題と感じているなら、解消するためには「交渉」が必要です。

 今回は「夫婦間の交渉」について、具体的な交渉の例を挙げながら見ていきます。明治大学専門職大学院ガバナンス研究科(公共政策大学院)教授の松浦正浩さんとみらい総合法律事務所の弁護士の谷原誠さんに、「夫婦ともに納得できる交渉術」を聞きました。

 まずは、週5日保育園のお迎えと夜間の家事・育児を担う妻が、週2日、それを夫に代わってほしいと思っているケースです。朝の家事・育児シェアはできているものの夕方以降はワンオペ状態で、それを解消したい、でも夫は仕事を理由になかなか変えてくれない……という場合、どう交渉すればいいでしょうか。

【交渉する人物】夫【交渉する問題】1歳、4歳の保育園児がいる共働き家庭。妻は保育園のお迎え以降、夜間の家事・育児を、基本担っており、残業や仕事の付き合いがある場合、へりくだってパートナーにお願いしている。週2日、夫にお迎え以降の夜の家事・育児を分担してほしい【普段の反応】「遊ぶ時間が欲しいのなら無理」と言われて決裂

 松浦さんはまず、「夫婦が納得できる交渉を行うための3つのステップ」の第1段階として、「交渉する『人物』と、交渉する『問題』を切り離しましょう」と言います。どういう意味でしょうか。