「ほんっとやってらんない」。そんな出来事に遭遇したとき、どう対応するかは人によって大きく異なります。ビジネスの場であっても夫婦間であっても、意見の相違を我慢してやり過ごすのか、もしくは理解し合ったり周りを味方につけたりするために話し合うのか。うまくいくかどうかは別として、交渉する人生、交渉しない人生のどちらを選ぶのかは自分次第。さて、得をするのはどっちの人生? 自分の人生の主導権を握る、交渉のノウハウを特集します!

交渉しなければ現状は変わらない

 「どうして、自分ばかり割を食っているのだろう」。子育てや仕事、ご近所付き合い……いろんな場面でそんな気持ちを抱えることはないでしょうか。

 夫婦で家事育児を分担しているけれど、子どもがイヤイヤ期に入って自分の負担が増したにもかかわらず、夫の分担は以前のまま。上の子が小学校に入学してからは、PTAなどの会議に出席する必要も出てきて、しかもそれが平日の昼間に設定されてしまって「どうしよう……」と頭を抱えていたり。職場で、自分は限られた勤務時間の中で力を発揮したと思っていたけれど、蓋をあけてみると、ボーナスの額が減っていて愕然。上司の評価とはかけ離れていたり。

 さまざまなモヤモヤ状態を解消するのに必要なのが、交渉です。言わなくても察してほしい、分かってくれているはずなんて思っていたら現状は変わりません。『おとしどころの見つけ方 世界一やさしい交渉学入門』(クロスメディア・パブリッシング)の著者であり、明治大学専門職大学院ガバナンス研究科(公共政策大学院)教授の松浦正浩さんは、交渉するかしないかは生涯的な年収にも関わってくる可能性を示唆します。