「ほんっとやってらんない」。そんな出来事に遭遇したとき、どう対応するかは人によって大きく異なります。ビジネスの場であっても夫婦間であっても、意見の相違を我慢してやり過ごすのか、もしくは理解し合ったり周りを味方につけたりするために話し合うのか。うまくいくかどうかは別として、交渉する人生、交渉しない人生のどちらを選ぶのかは自分次第。さて、得をするのはどっちの人生? 自分の人生の主導権を握る、交渉のノウハウを特集します!

「交渉したくてもできない」をどう解消するか?


 「(子どもの保育園のお迎えがあって)定時退社すると上司に嫌な顔をされる」「(残業できなくても)働く時間の長さではなく能力で評価してほしい」。

 職場における子育て中社員のこうした悩み。何とかしたいと思ったとき、あなたならどうしますか。 交渉する? それとも交渉しない?

 同じ悩みを抱えているAさんとBさん。しかし、その対応はずいぶん違っています。こうした2人の対応の違いについて、『人と組織を強くする交渉力』(自由国民社)の著者で、企業や地方自治体などでコンフリクト・マネジメント研修などを行う鈴木有香さんはこう説明します。

 「交渉がうまくいくか、いかないかは、その人の置かれている状況や仕事ぶり、コミュニケーションスキルなどの資質、家庭の状況、上司のタイプや会社の業績などにも大きく左右されるので、一概に、Aさん、Bさんのどちらの判断が正しいとはいえません。ただ、忘れてはならないのは、人には『交渉するリスク』と共に、『交渉しないリスク』もあるということ。Aさんの場合、『交渉しないリスク』をきちんと考えた上で決めたというよりは、『交渉したくてもできない』といった状況に近いのではないでしょうか」

 「交渉する人生、しない人生、どちらを選ぶ?」でも紹介していますが、交渉する人生としない人生では、前者のほうが長い目で見ると得をするだろうといわれています。しかし実際には、それ以前にAさんのように「交渉したくてもできない」というケースも多いのではないでしょうか?

 そこで今回は、「交渉の舞台に上がる前にやっておきたいこと」について専門家に聞きました。

 交渉の舞台に上がるまでには、「交渉できる or 交渉できない」「交渉する or 交渉しない」といった判断が重要です。それにはまず、STEP1で「交渉できない人」が、なぜできないのかの本当の理由を知り、STEP2で「交渉する or しない」をどう判断すればいいのか知ることが大切です。これらの最適解を見つける専門家のアドバイスとは、一体、どのようなものでしょうか?

交渉の舞台に上がる前にやっておきたいこと STEP1交渉できるor交渉できない/STEP2交渉するor交渉しない/交渉がうまくいくorうまくいかない。