コロナ下で働き方や暮らし方が大きく変わりました。それだけでなく、DX、多様化、グローバル化もますます進んでいくでしょう。子どもたちが社会に出る十数年後に、親世代の常識はどこまで通用するでしょうか。親はこうした変化にどう対応すればいいのでしょうか。この特集では「働き方」「キャリア教育」「ジェンダーバイアス」の3つの変化に注目し、「子育ての新常識」を探りました。

自分はどう生きるかを考えているZ世代

 働き方や暮らし方が変わる中、子育てにおいてどのような視点が大事でしょうか。

 2000年代に社会に出たミレニアル世代や、さらに若い1995年以降生まれのZ世代は、すでに新しい価値観を持っているようです。それは子どもたちにも影響することが予想されます。親世代が知っておくべきことは何でしょうか。今回は、Z世代の起業家や、Z世代・ミレニアル世代の年次調査を行っている専門家に、これからの子育てで持つべきマインドを聞きました。

 子どもたちへのキャリア教育事業を手がける会社、TimeLeapを経営し、慶應義塾大学の学生でZ世代の仁禮(にれい)彩香さんは次のように言います。

 「私たちは、東日本大震災やコロナによってもたらされた大きな変化を、多感な時期にリアルタイムで体験しています。そのため、若くても、一度きりの人生をどう使おうかという考え方を持っている人たちが、上の世代よりも多いように思います。ただ、一方では、情報や選択肢が多いこと、価値観が多様であることから、自分が何を選択していけばいいのかが分からず、『自分探し』に悩んでいる人もいます。それは日本の学校教育では『自分はどういう人間なのか』を考える機会がないからです」

ミレニアル世代の価値観・特徴は子育てでも必要なマインド

 デロイト トーマツ コンサルティングで「ミレニアル年次調査2020年版」(※)を担当したシニアマネジャー・澤田修一さんは、今の親世代より一世代下に当たるミレニアル世代には下記の5つの価値観や特徴が見られると話します。

デロイト トーマツ グループの資料から抜粋して作成
デロイト トーマツ グループの資料から抜粋して作成

 同じく調査を担当した、同社執行役員で組織変革領域の副事業責任者・古澤哲也さんは、「この5つの価値観や特徴は、子育てにおいても、親自身の仕事への姿勢においても必要なマインドだと言えるでしょう」と指摘します。

 中でも、「親世代が特に知っておくべき」という「自律・成長」「フラットな信頼関係」「社会への価値提供」の3つの価値観について、詳しく解説してもらいます。

※「ミレニアル年次調査」は世界のミレニアル世代(本調査では1983~1994年生まれと定義)とZ世代(1995~2003年生まれと定義)を対象にデロイト トーマツ グループが毎年実施している調査。今年で9回目。2020年版は2019年11月から2020年5月にかけて約2万7500人を対象に行われた。