大豆製品を食べてもその健康効果を享受できない人もいる

 女性ホルモンの乱れが原因の不調に対して、どのようなセルフケアをすればいいのかを紹介します。

・食習慣を見直す

 女性ホルモンのバランスを根本的に改善するには、食生活の見直しが大切です。偏りなくすべての栄養を取ることを心がけましょう。次の項目で説明しますが、ソイチェックでエクオール産生機能があることが分かっていれば、イソフラボンを多く含む大豆や豆乳などの大豆製品をとることも有効です。

・女性ホルモンに似た成分「エクオール」のサプリメントをとる

 体内で女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをする成分「エクオール」には、更年期の症状の改善や骨粗しょう症の予防などに効果があることが分かっています。

 エクオールは、大豆イソフラボンに含まれるダイゼインという成分が腸内細菌で代謝されることによって作り出されるので、大豆製品を食べると自身でエクオールを産生することができます。しかし、腸内にエクオールを生み出す細菌がない人は、どんなに大豆製品を食べても自身でエクオールを産生することができないのです。

 「自力でエクオールを産生できるのは、2人に1人と言われます。『ソイチェック』という簡単な検査を受ければ、自分が産生できるのかできないのかすぐに分かります。産生できないことが分かった方は、エクオールをサプリメントとしてとることがお勧めです。更年期障害の1つである関節の変形や痛みにも効果が期待でき、最近では手の外科領域でも注目されています」

 エクオールはサプリメントなので、ホルモン剤を使った治療には抵抗があるという人や、病歴があってホルモン治療ができない人にも向いています。

・自分のための時間をあえて作る

 子どもの発育、受験、友だち関係、夫や実家との関係……。どうしても「自分以外のこと」に目が向いて、歯がゆさや怒り、無力感といった感情からストレスをため込んでしまうママも多いはず。自力で解決できないことからは一度気持ちを離して、外に目を向けてみましょう。

 「子どもを産む前に没頭していた趣味をもう一度始めたり、気になっていたことや好きなことにチャレンジしたりすると、視野が広がって今までの悩みが小さなことに思えてくるかもしれません。自分のために時間を使うことに罪悪感を持つママもいるかもしれませんが、ママがストレスを抱え込んでイライラしているより、思い切って発散していつもはつらつとしていてくれたほうが家族もうれしいはずですよ」

 隙間時間を見つけてコーヒー1杯だけでも飲みに行ったり、自分のための買い物をしてみたり。普段家族のことで頭がいっぱいになっているママこそ、自分のための時間を作ってみましょう。

・なんとかして睡眠時間を確保!

 「睡眠」は疲れを取り、イライラを鎮めるためには欠かせません。

 「忙しいママも、子どもが寝るときは一緒に寝てしまって朝早く起きる、夫に後片付けを任せて22時に寝る日を作るなど、工夫して何とか睡眠時間を確保しましょう。両親や夫など身近な人の協力は欠かせませんから、寝たいからサポートしてほしいと頼んでおくことも大切です」

 子どもの寝返りで眠りが浅くなってしまう、という場合は、子どもと寝室を分けてみるなど睡眠環境を見直してみるのも手です。

・自律神経を整える工夫を

 女性ホルモンが減少すると、脳の視床下部や下垂体はホルモンの分泌を増やそうとするため、連動して視床下部にある自律神経系のバランスも乱れてしまいます。更年期の症状は自律神経の乱れの症状とも重なるのです。そこで、自律神経を整える工夫をしてみましょう。

 自律神経を整える方法はさまざまです。自分の好きな香りのアロマをたく、ゆっくり大きく体を動かすヨガ、瞑想(めいそう)、マインドフルネスなどを思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、時間がない、子どもがいるとできない、と思う人もいるかもしれません。何かに集中して、無心に手を動かす作業も、実は自律神経を整えるためには有効です。例えば、塗り絵や切り絵、折り紙、写経などです。子どもと一緒に無心に塗り絵をしてみてもいいかもしれません。