真面目な人ほど更年期障害は重くなる傾向に

 エストロゲンの力が薄れることで、ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ・発汗など)やイライラ、憂鬱(ゆううつ)感といった更年期特有の症状が表れます。疲れ、だるい、倦怠感といった不調も、エストロゲンの減少で生じる症状です。更年期症状はホルモンバランスの変化に加えて、環境要因によるストレスも発生因子になるため、子どもの受験や反抗期、親の介護といった家庭の問題が重なるとより表れやすいといいます。

 「本人の性格によっても、更年期障害の有無や症状の強弱は変わってきます。すべての問題に正面から向き合い過ぎて、自分を追い詰めてしまう真面目な人ほど、更年期障害が重くなる傾向にありますね。症状を自覚するタイミングもまちまちで、仕事を終えて帰宅すると更年期障害の症状が出るという人もいれば、週末になると出るという人もいます」

 問題は、そうした疲労感を「年のせい」と捉えたり、一つひとつの環境要因に理由を求めたりしてしまい、更年期障害と結びつけるのが遅れ、症状が悪化してしまうことにあります。まずは、気力や体力だけではカバーしきれないホルモンバランスの乱れが疲れの根本にあるかもしれないと考え、症状に気づいた時点で適切な対処をすることが大切だと大山さんは指摘します。

 「女性のライフステージが変化するタイミングは、体から『自分のことにもっと目を向けて』というサインが出る時期でもあります。つらいと感じたら、その原因を外だけに求めず、一度は自分の内面に目を向けてみましょう

更年期の症状と思ったら橋本病ということも

 女性ホルモンの減少という避けられない動きが体内で起こる時期、自分の心身の働きが「落ちてきた」と感じたら、具体的にどのような行動をすればいいのでしょうか。

 大山さんが挙げるのは、まずは「婦人科検診」、そして「セルフケア」です。

 「子育てや仕事に追われると、婦人科検診はつい後回しにしがちですよね。婦人科検診を、自分の誕生日など覚えやすい日に毎年予約を入れてしまいましょう。検診を受けて、疲れやすいのが年を取って体力がなくなったのだと思っていたら更年期の症状だったという人がいます。さらに、更年期の症状だと思っていたら橋本病などの病気だったという人も少なくないんです」。橋本病は甲状腺に慢性の炎症が起きて甲状腺機能が低下する病気で、不足している甲状腺ホルモンを薬で補う治療が必要となります。

 「万が一のときに早期発見・治療できるよう、検診はルーティン化してしまうといいですね。婦人科検診では、ただ漫然と検査を受けるのではなく、何のために、どんな検査をしているのかを自分で把握しておきましょう」