中学受験・受検に挑戦する家庭の間で、公立中高一貫校は安い学費で質の高い教育が受けられるとして、不動の人気を誇る存在です。実際のところ、適性検査ではどのような問題が出され、入学後はどのような教育を受けることができるのでしょうか。気になる受検倍率や進学実績、ICT事情は? 私立との違いは? 志望するなら知っておきたい、知られざるデメリットは? 取材や最新データを基に、公立中高一貫校の動向を注視してきた教育ライターの佐藤智さんが解説します。

公立中高一貫校の進路実績とは?

 中学受験をする上で、保護者が気にするものといえば、一つは「出口」である大学進学実績ではないでしょうか。

 かつて、公立中高一貫校から難関大学へ合格するのは難しいといわれた時代がありました。しかし、2011年に白鷗高等学校付属の1期生から数人の東大合格者が出た、いわゆる「白鷗ショック」を皮切りに、公立中高一貫校の進学実績は堅調に推移しています。

 例えば、小石川中等教育(東京都文京区)は2017年から5年間東大進学者数が10人を下回ったことがなく、2021年には18人の合格者が出ました。私立大学においても、2021年は早稲田大73人、慶応義塾大49人の合格者を出しています。また、武蔵高等学校付属(東京都武蔵野市)は東大合格者数がここ2年間6~7人を維持しています。これは、進学指導重点校の都立西高校の11人(2021年)に迫る勢いです(いずれも現役合格者数で比較)。

■12校の2021年入試における合格実績を次ページで紹介!

 ただ、学校選びにおいて、重視すべきは大学合格実績だけではありません。「有名大学に何人合格したか」ということ以上に目を向けたいのは、6年間の学びの内容。生徒一人ひとりの興味関心を掘り下げ、それぞれに合った大学・学部を自分で選択する力を伸ばす教育がなされているかどうかも、細かく見ていく必要があります

 次ページ以降では、公立中高一貫校の6年間の教育内容やICT事情、学費面で知っておきたい新制度などについて紹介します。