中学受験・受検に挑戦する家庭の間で、公立中高一貫校は安い学費で質の高い教育が受けられるとして、不動の人気を誇る存在です。実際のところ、適性検査ではどのような問題が出され、入学後はどのような教育を受けることができるのでしょうか。気になる受検倍率や進学実績、ICT事情は? 私立との違いは? 志望するなら知っておきたい、知られざるデメリットは? 取材や最新データを基に、公立中高一貫校の動向を注視してきた教育ライターの佐藤智さんが解説します。

 2022年4月に東京都立立川国際中等教育学校に付属の小学校が開校し、日本初の公立小中高一貫校が誕生します。21年10月に初年度の募集を終え、最終志望倍率は驚がくの30.98倍となりました。公立で小中高一貫の12年間の学びを行う意義や今後の都の方向性などについて、東京都教育庁都立学校教育部教育改革推進担当課長の鈴木宏治さんに話を聞きました。

注目の公立小中高一貫校 初年度は最終志望倍率は30.98倍という高倍率に

 東京都立立川国際中等教育学校の付属小学校(以下、立川国際小、東京都立川市)の開校は、2013年から東京都教育委員会が検討を進めてきた、約10年にわたるプロジェクトです。12年間の一貫化を通して、現在の教育の改善に資する研究を行い、世界で活躍する人材を育成し、都のみならず区市町村へその知見を還元することとしています。

 東京都教育庁都立学校教育部教育改革推進担当課長の鈴木宏治さんは、「検討当初は、小学校から中学校に進学する際に新しい環境にうまく適応できない等の校種間の接続に関する課題の解消も重要な議題でした」と語ります。

 公立で初となる小中高一貫校の誕生に注目が集まる中で、同校の募集初年度に当たる2021年の結果は、男子29人・女子29人の枠に対して、男子916人・女子881人が集まり男女の最終志望倍率は30.98倍という高倍率となりました。

 今回は応募者多数のため抽選が導入され、(第一次)抽選→(第二次)適性検査→(第三次)抽選のステップで選考が行われました。立川国際小の適性検査受検の意義について、検査の目的は学力的に高い子どもを選ぶことではないと言います。