在宅勤務が広がり、子育てとの両立はしやすくなった一方で、「気持ちの切り替えがうまくいかない」「つい長時間仕事をしてしまう」など、時間管理や効率化の観点で課題を感じている人が少なくありません。そこで、アクセンチュア、カルビー、サイボウズ、ドリームインキュベータ、PwCコンサルティング、ポーラの第一線で活躍している多忙なママ・パパを取材。仕事や私生活で実践している時短ワザの数々を教えてもらいました。

「仕事に追われている感が増した」「自分の仕事の時間がとれない」……

 新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの企業が時差出勤やオンライン会議などを取り入れて、3密を避けるための手段を模索しています。中でも、テレワークの普及により、私たちの働き方は大きく変わりました。在宅勤務は自由度が高く、子育てや家事との両立もしやすい半面、通勤していた頃のように時間の区切りがつけられず、仕事が時間内に終わらなかったり、うまく段取りができなくなったりして、仕事や生活に支障が出ている人は少なくないでしょう。

 日経DUALが10月に行った在宅勤務の働き方に関するアンケート調査でも、

■「在宅勤務が増えたことにより、通勤時間に実施していた頭の整理、メール整理、その日の業務の進め方の段取りなどができなくなった。結果として、仕事に追われている感が増したと思う」(36歳、団体職員、年少児のママ/在宅勤務は『週に数日』)

■「打ち合わせ関係に意外と時間をとられるため、取捨選択しないと自分の作業をする時間がとれない」(46歳、コンサルティング、小3・小5など3人のママ/在宅勤務は『週に数日』)

 といった声が寄せられました(アンケート概要は最終ページ)。

 コンサルティングファーム、ドリームインキュベータの執行役員で、5歳の男の子を育てるパパの野邊義博さんは、このように解説します。

 「これまで、出勤することで仕事とプライベートの時間が強制的に区切られていたのが、在宅勤務になり、両者の線引きが曖昧になっています。オフィスは『仕事をする場』、自宅は『プライベートな時間を過ごす場』と否応なしに分かれていたことで、仕事中は家事や育児の入り込む余地がなく、退社後は仕事から心理的に距離を置くことができました。ところが、在宅勤務に移行したことで、ちょっと洗濯物を干したり、学校から帰宅した子どもに話しかけられたりと、仕事中に家事や育児が入ってくることが増え、労働時間は薄く延びている傾向にあります。

 もともと、仕事とそれ以外の時間の線引きが曖昧な裁量労働と呼ばれる働き方をしていた一部の職種の人たちは、在宅勤務に移行してもそれほど違和感を抱いていないかもしれません。しかし、そうでない大多数の人にとって、この変化は大きいのではないでしょうか」

目の前の仕事に気を取られすぎてしまう

 「労働時間が薄く延びると、同じタスクをこなすのにも、以前より時間がかかるようになるため、常に何かしらの作業を抱えているような状態になりがちです。その結果、締め切りが近い目の前の仕事に気を取られすぎて、中長期の目標やキャリアプランをつい忘れてしまう人も多いのではないでしょうか」と野邊さんは指摘します。

ドリームインキュベータ執行役員の野邊さんが分析・作成
ドリームインキュベータ執行役員の野邊さんが分析・作成

 在宅勤務という働き方が広がる今、見直したいのが「時間の価値」。特集1本目の今回はまず、在宅勤務で効率アップのために意識したいタイムマネジメントのポイントをお伝えします。