新型コロナの影響でリモートワークが進み、ライフスタイルが大きく変わった人は多いでしょう。それに伴い、夫婦関係にも変化があったかもしれません。家にいる時間が長くなったことで夫婦仲が良くなった家庭もあれば、そうでない家庭も。家事育児がどちらかに偏った状況をどうするか、「コロナ離婚」の危機を迎えた夫婦がどのように踏みとどまったかなど、夫婦間のバランスを前向きに考えていくためのヒントを紹介します。

ケンカが頻発、家庭内別居、居場所がない。三者三様の不満

 新型コロナウイルスの感染が拡大する前は、日中のほとんどを別々に過ごすことが多かった共働き夫婦。ところが、緊急事態宣言下でテレワークが進み、一緒にいる時間が急激に増えました。生活の大きな変化は夫婦関係にどんな影響をもたらしたのでしょうか。共働きの夫3人に、コロナ下で生まれた夫婦間のモヤモヤやピンチなどのエピソード、そのときどのように夫婦のバランスを取り戻していったかを、オンライン座談会で話してもらいました。

 3人は自粛中、妻との関係が下記のようになりました(3人とも仮名)。

30代・会社員。妻は会社員。子ども小1、3歳
夫婦でテレワークに。妻のストレスや不安が強くなり、夫婦ゲンカが頻発

30代・会社員。妻はパート。子ども小1、年長
もともと妻の愛情を感じられず、自粛中、家庭内別居状態に。離婚まで考えた

30代・自営業。妻は会社員。子ども小1、年少
妻が在宅勤務になったため、夫が家で居づらさを感じ、不満を抱え込んだ


編集部(以下、――) 香山さんは夫婦ともに会社員ですね。緊急事態宣言中はどのように過ごしていましたか?

香山さん(以下、敬称略) 僕は仕事をほぼリモートに移行しました。妻はリモートではできない仕事で、出勤を週2日程度にとどめ、残りの日は自宅で業務に関する研修や学習に取り組むことになりました。僕としては、仕事をしながら子どもを見たり家事をしたりして、妻が一人でくつろげる時間をつくるようにしていたのですが、どうしても「あなたはいいよね、好きにできて」なんて言われてしまうんですよね。こちらは全然そんな気はなくて、すごく気も使っているし、仕事は思うように進まない。「こんなことやってられるか」という気持ちになって、何度かケンカになりました

―― 井上さんはコロナ前から妻としこりがあったそうですね。

井上さん(以下、敬称略) コロナ前から妻の愛情を感じられないと思っていて、離婚届用紙が家にあります。「書く、書かない」の話を妻としたこともあります。緊急事態宣言下では、私はリモートワークになり、保育士の妻は休業状態だったのですが、家庭内別居状態になりました。妻は私と話し合いをしたいようでしたが、私は妻とは分かり合えないと、諦めていたので殻にこもり、全く口をきかない期間が1週間。その間、離婚を考え、子どもはどうしようかなということまで考えました

野木さん(以下、敬称略) わが家はコロナをきっかけに会社員の妻が家で仕事をするようになりました。自営業の私は、以前から家で仕事をしていたのですが、コロナで休業状態に。妻がリモートワークをし始めると、昼食を食べるタイミングがつかみにくかったり、録画したテレビを見るのも遠慮したりして、居づらさを感じ、「なんだか、うん……」というモヤモヤした気持ちでした

―― ふだん一人でいる家が妻の仕事場になってしまう。居心地はずいぶん変わるでしょうね。


 3人の夫たちはどのように夫婦のバランスを取り戻したのでしょうか。それぞれの夫婦の家事・育児のバランスや「仲良し度」がどのように変化したかも合わせて、次ページから詳しく紹介していきます。