子育てにおいて、「もっと知識を付けさせなければいけない」「言って聞かせないといけない」など、知らず知らずのうちにインプット重視の考え方になっていませんか? 新しい知識をインプットすることは大事ですが、それ以上に大事なのがアウトプット。「アウトプットが7割」を心掛けることで、子どもが頭の中を整理しやすくなったり、自分の本当の気持ちが見えてきたり、勉強面でも理解がより深まり知識が定着しやすくなったりするため、インプットの効率も飛躍的に高まります。では、何をどうやってアウトプットさせれば、子どもを伸ばすことができるのでしょうか。具体的な方法を紹介します。

学校や塾の授業はインプット型

「子どもが、たくさん時間をかけて勉強しているのになかなか覚えられない」
「友達と上手にコミュニケーションが取れない」
「子どもが、人前で話すのが苦手」

 そんな悩みを抱えている親は、多いのではないでしょうか。

 子どもへの教育といえば、とかくインプットに偏りがちです。勉強の場合は、学校でも塾でも、授業を受けることが中心で、基本はインプット。しかし、精神科医でビジネス書のロングセラー『学びを結果に変えるアウトプット大全』(サンクチュアリ出版)や中高生向けの新刊『極アウトプット「伝える力」で人生が決まる』(小学館)などの著書を持つ樺沢紫苑さんは、「勉強の成績を上げることに限らず、人前で話すためのコミュニケーション能力を伸ばすためにも、インプットよりもアウトプットのほうが重要です」と言います。

 そもそも、アウトプットとは何でしょうか。

 「インプットは『読む・聞く・見る』のこと。それに対しアウトプットは入ってきた情報を脳の中で処理して、外に出す『話す・書く・行動する』ことです。文字を書く、ノートをまとめる、声に出して読む、親や友達と話す、自分の思いや考えを発表する、問題を解く、友達と教え合う、テストを受けるといった行為がすべてアウトプットにあたります」

 「インプットは、自分の脳内の世界が変わるだけであり、ある意味それは自己満足にすぎません。それに対し、アウトプットは現実の世界につながる行為。そのため自己成長に結びつくものです」

 樺沢さんは言います。「これまでは、暗記などのインプット型の学習が得意な子が優秀な成績を取ってきました。そして、会社でも言われたことを言われたとおりにこなせる社員が求められてきました。しかし、これからのAIの時代に求められるのは、創造力や発想力など0を1にするクリエーティブな能力です。大学入試でも思考力が求められるようになっています。そうした力を伸ばすためには、インプットよりもアウトプット重視のトレーニングが不可欠といえるでしょう。

 また、暗記などの学習も、ひたすらインプットをする『インプット型の学習』より、アウトプットをしながらインプットをする『アウトプット型の学習』を取り入れるほうが、効率よく覚えることができます」

 では、未就学児や小学生の子どもにアウトプットを促すには、親はどうすればいいのでしょうか。「話す」「書く」「行動する」それぞれについて、次ページから具体的に紹介します