「管理職になりたいか」という問いに対し、女性の半数以上が「なりたくない」と回答しています。一方で政府は2020年代に指導的地位に女性が占める割合を30%にするという目標を立てています。帝国データバンク調査によると、現在の女性管理職割合の平均はたったの8.9%です。小さい子どもを持ち、仕事と家庭の両立をしているママでも、管理職への打診を安心して受けられるために必要な「武器」を準備する方法をお伝えします。

 12月に発行されたばかりの『なぜ自信がない人ほど、いいリーダーになれるのか』(小早川優子著、日経BP)。この本のエッセンスを紹介する特集7本目の本記事では、「マネジメント思考」の定義と、3ページ目で紹介する「リーダーの7つの挑戦課題」の(1)~(3)について、著者でワークシフト研究所代表取締役社長の小早川さんに詳しく解説してもらいます。

「マネジメント思考」は、よりどころにできる概念

 突然ですが、ここで質問です。あなたは「マネジメント思考」という概念を知っていますか? 会社や組織の一員であれば、仕事をしていくうえで持っておいたほうがいい基本知識ですが、経営学を専門的に学んだり、経営に関する本を熱心に読んだりしている人でなければ、知らないことのほうが多いようです。自信がない人ほど、思考や判断をする際に大きな心のよりどころにできるものですので、詳しく説明しましょう。

 ここからは、上記の定義を踏まえ、マネジメント思考ができている人とできていない人にはどんな違いがあるか、考えてみましょう。仮に、マネジメント思考ができている人をAさん、できていない人をBさんとします。この2人の仕事上のアウトプットには、どんな差が出てくるでしょうか。

 最初に、マネジメント思考ができているAさんのアウトプットについて考えてみます。

 Aさんは会社の方向性やその方向性に沿った仕事としての全体感を把握し、自分のすべきことや目指すべき方向が見えているため、会社に貢献するための意思決定を行うことができます。その結果、より生産性の高い方法でゴールに向かえます。

 Aさんが作る資料は、会社の経営層や管理職にとって必要な情報が盛り込まれ、無駄のない、ポイントが絞られたものになり、合理的で、理解しやすく、説得力があるはずです。その理由は、資料を作る前に自分が作成する資料をどの管理職がどんな意思決定をするために読むかという目的を的確に把握し、読み手の気持ちをくんでいるからです。

 では、Bさんはどうでしょうか。