「働き方改革」で業務の効率化が進み、仕事の多くは、AIやRPAが担うようになります。働く場所も自分で選べるようになり、自由度が増す一方、企業に必要とされるのは専門性に長けた人材です。大手企業が早期退職を募るなど、終身雇用制度は崩壊してきており、誰もが定年まで勤められる時代ではありません。そんな中、子育て世代の共働きが考えるのは「末長く働き続けたい」ということでしょう。会社員として働き続けるか、フリーランスや起業という形で、自分のやりたいことに挑戦し、働き続けるか、その選択に迷う人は多いようです。

そこで、会社員からフリーランス、起業への道を選び、成功している子育て世代にインタビューをして、収入はどのように変わったか、ノウハウはどこで得たか、事業計画はどんなふうに立てた? 事業を大きくできた理由は? 会社員時代にやっておいたほうがよいことは?などを根掘り葉掘り聞きました。さらに、起業や働き方の専門家に、ブルーオーシャンの見つけ方や、会社員でいるうちに身に付けておきたいスキルなどのアドバイスももらいました。

 2019年4月、働き方改革関連法が施行されました。テレワークが推奨され、柔軟な働き方ができるようになり、残業時間に上限が設けられるなど、共働き子育て世帯にとっては歓迎すべき改革でしょう。しかし、少し先に目を向けてみると、今30~40代のDUAL世代の将来には労働環境の大きな変化が待っているようです。

 将来、会社員という働き方ができる人が消えていくと予測し、子育て世代は今すぐに次のステージへの準備を始めてほしいと警鐘を鳴らすのが、神戸大学大学院法学研究科教授の大内伸哉さんです。“会社員が消える”とはどういうことなのでしょうか? 日本の働き方はどのように変わるのか、今、どのような準備が必要なのか、大内さんに詳しく聞きました。

 2015年に野村総合研究所が発表した調査結果で、「10~20 年後に、日本の労働人口の約 49%が就いている職業においてAIやロボットに代替することが可能」という推計が報じられたように、AIやロボットの登場で仕事がなくなるだろうということを耳にしたことがあるかもしれません。しかし自分の業種、会社は何とかなるのではないかと楽観的に考える人も少なくないでしょう。

第4次産業革命で求められるのはプロ人材

 デジタライゼーションの波は多くの産業に押し寄せており、これまでとは全く異なるビジネスモデルが次々に生まれています。こうした動きは第4次産業革命と呼ぶにふさわしく、日本の会社員の働き方もこれから変わっていくと大内さんは予測します。

 例えば、バックオフィスのような定型的な仕事は、AIやロボットが担うようになり、ホワイトカラーの仕事は大幅に減ります。人間に残されるのは、独創性や創造性が必要とされる仕事でしょう。日本の会社員は労働法で守られているので、定型的な仕事しかできない人もすぐに仕事を失うことはありませんが、会社は希望退職を募るなどして、社員を減らしていくでしょう。

 IT化が遅れている企業では、定型的な仕事をやってきた人も会社員として残れるかもしれません。「しかしそれは短期的なことです。その会社自体が今後、生き残れるかというと、厳しいのではないでしょうか」

 その反対に、今後必要とされるのが専門的なスキルのある人材=「プロ人材」です

ここが知りたい
・会社員がプロ人材化したら、企業はどうなる?
・プロ人材になったらどのような働き方になる?
・そもそも自分はどんなプロになればいい?
写真はイメージ
写真はイメージ