「働き方改革」で業務の効率化が進み、仕事の多くは、AIやRPAが担うようになります。働く場所も自分で選べるようになり、自由度が増す一方、企業に必要とされるのは専門性に長けた人材です。大手企業が早期退職を募るなど、終身雇用制度は崩壊してきており、誰もが定年まで勤められる時代ではありません。そんな中、子育て世代の共働きが考えるのは「末長く働き続けたい」ということでしょう。会社員として働き続けるか、フリーランスや起業という形で、自分のやりたいことに挑戦し、働き続けるか、その選択に迷う人は多いようです。

そこで、会社員からフリーランス、起業への道を選び、成功している子育て世代にインタビューをして、収入はどのように変わったか、ノウハウはどこで得たか、事業計画はどんなふうに立てた? 事業を大きくできた理由は? 会社員時代にやっておいたほうがよいことは?などを根掘り葉掘り聞きました。さらに、起業や働き方の専門家に、ブルーオーシャンの見つけ方や、会社員でいるうちに身に付けておきたいスキルなどのアドバイスももらいました。

子育て中でも起業のチャンスがある社会に

 子どもが小さいうちは、会社の中でビジネススキルを身に付け、会社員としてできることをやりきったら、会社の外へ飛び出して起業してみたい。働く期間が長くなった今、将来に向けて、そんな夢を抱いている人もいるでしょう。

 そこで、日本最大規模の女性経営者が集う会、一般社団法人エメラルド倶楽部代表理事の菅原智美さんに、会社員から起業する際に知っておきたいこと、ワーキングママが起業する際の注意点などを聞きました。菅原さんはリクルートなどを経て、2007年に女性起業家の社会進出と育成を目的としたNATULUCKを設立。自身も複数の会社を経営する起業家です。

 世界のどこにいても同じようなネット環境が得られるようになっています。オフィスに行かなくても仕事ができるようになり、営業もモノを売るのもネット上でできるようになりました。「今は、自宅にいながら起業できる時代です。子育て中の人にも起業のハードルが下がり、起業するワーママも増えています」と話します。

 菅原さんによると女性起業家の特徴としては次の2つがあります。

(1)美容や健康、食、子ども関係など、身近なことを事業化する人が多い
(2)小さな投資でスタートする人が多い

 詳しく聞いていきましょう。「1つ目の身近なことを事業化するということの例を挙げると、自身の経験などに基づいて、それを広めたり、改善したりするパターンが多いです。肌荒れに悩んでいた人が、それを改善する化粧品やサプリを開発、販売したり、子育てで悩んでいた人が学童保育を開いたりするなどです」

 2つ目の小さな投資で代表的なのが講師業です。「会社員時代に得た資格や学んだことを基に、事業をする方は多いです。講師業は仕入れも事務所もいらないので、初期投資はほとんどかかりません。堅実に、自分が持っている能力、資源、資金でできる範囲でスタートし、最初は規模が小さくてもその分、失敗もしにくいのが女性起業家の傾向です」

 会社員時代に得たスキルや知識を生かして起業をする人もいます。例えば、証券会社で働いていた人が金融や株式の知識を生かしてアドバイザーになったり、フラワーショップで働きながら資格を取った人が、フラワーデザイナーとして独立したりするなど、さまざまな例があります。

 起業するからには、利益をきちんと出して、収入とやりがいを両立させたいものです。そのために知っておきたいことは下の8カ条です。次ページから詳しく聞いていきましょう。

菅原さんへの取材を基に編集部作成
菅原さんへの取材を基に編集部作成