近年、グローバルで活躍できる人材育成を教育方針にすえた、中高一貫の共学校が次々と誕生しています。広尾学園や開智日本橋学園をはじめとする「探究型学習」「グローバル教育」「留学」「IB認定校」などの特色をもつ学校群です。これら国際色のある比較的新しい共学校は、今御三家や早慶といった伝統校とは異なる目線で受験親子から人気を集めています。ネームバリューや偏差値重視の軸から、「子どもの個性に合う」「学校の理念に共感できる」といった、より多様な視点で志望校を考えるようになってきた「学校選び」。実際にこれらの学校が伝統校をはじめとする従来の学校とどのように違うのか、気になる人も多いのではないでしょうか。本特集では、世界標準のカリキュラムを目指す学校に焦点を当て、学校選びの最新動向や卒業生に聞いたリアルスクールライフの様子など、入学前に知っておきたいことを徹底取材。皆さんの素朴な疑問に答えていきたいと思います。

開校初年度の生徒募集でいきなり高倍率、人気校の仲間入りに

 2007年に校名を変更後、インターナショナルコースの設置と帰国子女の受け入れを軸に、教育システムを一新した広尾学園中学校・高等学校。その教育連携校として、同等・同質の教育をうたう広尾学園小石川中学校・高等学校(以下、広尾学園小石川)は、村田女子高等学校を前身とし、21年に開校したばかりの新設校です。開校初年度に都内私立中学校で最多出願者数を記録するなど、中学受験業界でも話題となりました。英語教育やグローバル人材の育成などを教育目標に据えた同校は、多くの受験家庭が注目する学校の一つとなっています。人気の秘密はどこにあるのか、校長の松尾廣茂さんにインタビューしました。

日経xwoman編集部(以下、──) 21年4月に1期生を迎え、2期目となる22年度中学受験入試では、初年度を上回る多くの志願者を集めました。この結果をどのように見ていますか。

松尾廣茂さん(以下、松尾) 学校選びは、子どもの将来に必要な教育について考えることから始まります。受験生の保護者さんからは、子どもには社会から必要とされ、活躍できる人物になってほしいけれど、目まぐるしく変化する世の中にあって、自分が受けてきたような学校教育では物足りないという声をよく聞きます。その中で、広尾学園の教育に共感し、それと同等・同質の教育を本校で受けられるという期待感があったのだと思います。上のお子さんが広尾学園、下のお子さんが本校に通っているというご家庭もあります。

── グローバル化する世の中で、親御さんが既存の教育では物足りないと感じているのは、やはり英語力や国際感覚といった部分でしょうか。

松尾 そうだと思います。ただ、本校としては語学力の向上だけに力を置いているわけではありません。実業界の方々と話をすると、最近の若者には気になる点が2つあると言います。指示がないと動かないこと、そして他人との協働が苦手な人が増えていることです。

 今の社会では、言葉や文化、考え方が違う人が集い、全力で仕事に取り組むわけですから、そうした姿勢では後れを取ってしまいます。本校の教育理念は、「自律と共生」ですが、社会から求められる能力は、まさにこの自律と共生です。カリキュラムや行事はもちろん、日常のさまざまな場面を通して、自ら問題点に気づき、解決策を考え、提案していく能力や協働できる相互理解のスキルやマインドを学んでもらいたいと考えています。

(左から)生徒たちの朝の登校時の様子/学校のエントランス(入り口)/広尾学園小石川中学校・高等学校校長の松尾廣茂さん
(左から)生徒たちの朝の登校時の様子/学校のエントランス(入り口)/広尾学園小石川中学校・高等学校校長の松尾廣茂さん
(左から)生徒たちの朝の登校時の様子/学校のエントランス(入り口)/広尾学園小石川中学校・高等学校校長の松尾廣茂さん
(左から)生徒たちの朝の登校時の様子/学校のエントランス(入り口)/広尾学園小石川中学校・高等学校校長の松尾廣茂さん