分かり合えない夫婦 原因は「考える家事」

梅田:自分が家事をするようになって驚いたのが、「考える家事」の多さでした。ロボット掃除機や食洗機、洗濯乾燥機などの時短家電を導入すれば「手を動かす家事」の量は多少減りますが、夕食のメニューを決めたり、イヤイヤ期の子どもをなだめたりする「考える家事」はなかなか機械任せにできませんよね。メディアなどで「家事なんてもっと時短できる」と語られるのは「手を動かす家事」がほとんどです。「考える家事」による苦労に気付いていない人は多いと思います。

治部:洗濯が終わる時間に合わせて効率よく家事をしていくのも、「考える家事」の一つですよね。以前、やっと片付けが終わって少し休もうと思ったところで洗濯機がピーピー鳴って、無視していたら、言葉を覚えたばかりの子どもに「終わった」と言われたときの絶望感はいまだに忘れられないですね。梅田さんの書籍にも似たような話がありましたね。

「対岸からの知らせ」(『やってもやっても終わらない名もなき家事に名前をつけたらその多さに驚いた。』113ページ/(C)ヤマサキミノリ)
「対岸からの知らせ」(『やってもやっても終わらない名もなき家事に名前をつけたらその多さに驚いた。』113ページ/(C)ヤマサキミノリ)

治部:でも、体を動かさない行為を家事としてカウントすべきなのでしょうか?

梅田:どちらかというと、数に入れていない人のほうが多いと思います。例えば女性は「考える家事」を日々こなしていくのが当たり前すぎて、家事としてカウントしない。だから自分でも、体を動かしていないのにあっという間に一日が終わった理由が分からず、モヤモヤしてしまう。一方で男性は「考える家事」そのものの存在を知らないから、なぜ妻が疲れて不機嫌になってしまうのか分からない

 僕自身も身に覚えがありますが、そんなすれ違いが続いた結果、夫婦間に見えない溝ができてしまう。だからこそ、体を動かさない行為も家事の一つであるとまずは妻が認め、その苦労を知らない夫に伝えていく必要があると僕は思います。

治部:なるほど、社会学でいう「メンタルレイバー」ですね。実際の作業時間だけではなく、「やらなきゃ」と思う気持ちがストレスになる。社会問題も名前を付けることで解決策の模索が始まりますから、家事にも名前を付けて可視化すれば、ストレスの軽減方法が見つかる可能性がありますね。