子どもがしたいようにさせてあげたい。でも、甘やかすことと子を尊重することはどう違う……? 子どもが主体的に考え、行動する力を育むためには、子を尊重する親の関わり方が大事です。世界で注目を集める教育法には、そうしたヒントがたくさんあります。子育て中に迷いがちな事例を見ながら、親子ともにハッピーになれるエッセンスを紹介します。

子どものありのままを観察すると、子の行動を問題視しなくなる

 子どもを尊重する育児というと、穏やかに子どもを見守り、ガミガミ怒らないイメージがありませんか? 子どもの行動に口を出しそうになったら、親は「我慢」する。そんなふうに思っている人は少なくないでしょう。

 しかし、子ども一人ひとりの個性や発達を尊重し注目される「オルタナティブ教育」では、口を出すのを「我慢」するのではなく、子どもを見る視点を変えることで、穏やかに見守る育児が行えるようになるといいます。カナダで国際モンテッソーリ協会(AMI)の教員免許を取得し、児童発達学博士として幼児教育の教員養成に関わる島村華子さんはこう話します。

 「モンテッソーリ教育など(※)では、子どもをよく観察することに重きを置いています。大人になると無意識のうちに、『この子には無理』などという先入観や、『こうあってほしい』という期待など、自分の価値観を通して子どもを見てしまいがちです。そうしたフィルターを外し、『子どものありのままを観察する』ことができると、これまで問題視していた子どもの行動にも理由があると分かり、大人が過剰に口を出す必要がなくなります

(※)本特集で取り上げるオルタナティブ教育の各教育法については、記事末尾に掲載しています。

 今回は、オルタナティブ教育の専門家を取材し、子どもを尊重する親の見守り方について聞きました。

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