「子どもが一人前になるまで、無事に育て上げたい」というのは、すべての親が共通して持つ切実な願い。「このまま頑張って働き続ければ、何とかなるはず」と思っている人も多いでしょう。ただ、忘れてはならないのは、夫婦のどちらかが病気やケガなどで休職を余儀なくされるなど、万が一の事態も起こり得ること。家計が2本柱から1本柱になったら、先の見通しはたちまちぐらつく可能性があるほど、家計の安定とはもろいものです。

そこで今のうちに、考えられるリスクを総点検しませんか? 意外と知られていない公的保障や職場の制度の確認ポイント、「がん」「事故・災害」「介護」「うつ」などへの備え方をご紹介します。

 親の介護に対してどんなイメージを持っていますか? 「とにかく大変そう」「介護施設や制度が複雑でよく分からない」「仕事を続けられないかも」「家計が苦しくなりそう」など、ネガティブなイメージを抱いている人がほとんどかもしれません。

 しかし、よく分かっていないことが、ネガティブなイメージにつながっているのかもしれません。

 厚生労働省が実施した「仕事と介護の両立に関するアンケート」では、男女別に「自分で介護を担っている人(n=144人)」と「(介護を必要とする親はいるが)自分で介護を担っていない人(n=145人)」に、仕事と介護の両立を続けられるかどうかを尋ねたところ、以下のような結果となりました。

【介護をしながら仕事を続けられると思うか?】

 男女共に実際に「介護を担っている人」のほうが、介護をしながら仕事を「続けられると思う」とポジティブな回答をしていることが分かりました。

 介護関係に詳しいファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんは、このように介護への漠然とした不安を抱えていることは、「親の介護に向き合う時期を遅らせてしまう」と警鐘を鳴らします。

 「介護は『情報戦』で、事前にどれだけ情報を持ち、どう備えているかによって、介護をする側の負担や仕事との両立のしやすさは大きく変わってきます。親が倒れてから動き出すのでは遅いのです」

 介護が始まっても仕事を続けるためには、まずは、基本的な知識を身につけておくことが大切です。では、私たちが知っておくべきこと、今から行動すべきことは、具体的にどんなことなのでしょうか?