「子どもが一人前になるまで、無事に育て上げたい」というのは、すべての親が共通して持つ切実な願い。「このまま頑張って働き続ければ、何とかなるはず」と思っている人も多いでしょう。ただ、忘れてはならないのは、夫婦のどちらかが病気やケガなどで休職を余儀なくされるなど、万が一の事態も起こり得ること。家計が2本柱から1本柱になったら、先の見通しはたちまちぐらつく可能性があるほど、家計の安定とはもろいものです。

そこで今のうちに、考えられるリスクを総点検しませんか? 意外と知られていない公的保障や職場の制度の確認ポイント、「がん」「事故・災害」「介護」「うつ」などへの備え方をご紹介します。

 共働き家庭の夫婦のどちらかが、病気やケガなどで長期にわたって働けない状況になったり、死亡してしまったりした場合に家計はどうなるかを点検した前回記事に引き続き、今回は、病気やケガで多額の医療費がかかる場合の備えについて、見ていきましょう。

 「医療費は民間の医療保険で備えるもの」と考えている人が少なくありません。でも、ファイナンシャルプランナーの横川由理さんも清水香さんも、「民間の医療保険への加入は、必ずしもマストではない」と口をそろえます。前回の記事「夫婦どちらかが働けなくなったら?公的保障まず確認」で伝えた通り、たとえ病気やケガで就業できない状態が長く続いたとしても、会社員であれば健康保険から傷病手当金が支払われるため、すぐに収入がゼロになるわけではありません。また、実は医療費は公的保障が手厚いという事情もあります。

 1カ月の総医療費に100万円かかったとしても、実際の自己負担額は9万円弱で済む場合もあります。高額の医療費負担が何カ月も発生する場合は、さらなる軽減措置が適用されます。次ページから詳しく解説します。

(自分の自己負担限度額は次ページの表でチェック!)