「自分の親」の子育て方針は、自分自身の子育てにも知らず知らずのうちに影響を与えているもの。生活面や勉強面、性教育などにおいて「自分がどう育てられたか」を振り返り、「まねしたい点」や「反面教師にしたい点」、「子世代に受け継ぎたい点」や「時代に合わせてアップデートしたい点」をフラットな視点で冷静に分析してみませんか。子育てが楽になるだけでなく、わが子の「生きる力」を伸ばすことにもつながるはずです。

 三男一女を東大理Ⅲ合格へと導いた「佐藤ママ」こと佐藤亮子さん。子ども一人ひとりを丁寧に観察し、それぞれに合ったスタイルで勉強のサポートに徹しました。では、佐藤さん自身はどのように育てられたのでしょうか。自らの子育てでもまねしたこと、反面教師にしたことについて聞きました。

「親世代の常識」がこれからも通用するとは限らない

 「自分が親からどのように育てられてきたかということは、自分自身の子育てにも大きく影響するように思います。ただし、親の世代で『いい』とされていたことが、新しい時代を生きる子どもたちの世代にもそのまま当てはまるのか、自分自身でよく精査しなければなりません」と、佐藤さんは言います。

 「『自分も親と同じことをすればよいだろう』と考えるのでは、時代遅れの価値観を子どもに押しつけることにもなりかねません。親の言動を今という時代のフィルターを通して捉え直し、『これは次世代の子どもたちにも有効なことだろうか』とよく考えて、OKだと思えれば子どもにも伝えていくというステップを踏むことが重要だと思います」

 佐藤さんの子どもたちは4人とも中学受験を経験し、長男・次男・三男は灘中学校、長女は洛南高等学校付属中学校にそれぞれ進学しました。佐藤さん自身は幼稚園から中学校まで国立大学の付属校に通っていたため、いわゆる「中学受験」の経験はありません。そのため、佐藤さんの受験サポートのノウハウの多くは、自らが親となってから実践の中で編み出していったものだといいます。ただ、その根底には、両親の子育てや教育の方針に影響されている部分も少なからずあると振り返ります。

 両親の子育て方針の中で、佐藤さんが自らの子育てでもまねしたこと、逆に反面教師と捉えて子どもに対してはしなかったことは、それぞれどのようなことなのでしょうか。次のページから詳しく紹介します。

「子どものためなら当たり前」
佐藤ママの精神が育まれた背景


その1
「近所の書店に対して親がしてくれたこと」
「言葉」に対する意識の原点に

その2
子どもを怒らない温厚な両親が
唯一厳しかったこと

その3
子どもの勉強に関して自分の親を
「反面教師」にした意外なポイントとは

その4
きょうだいの育て方に大きく影響した
「ヨーグルトドリンク事件」の記憶

その5
「何があっても生き延びろ」
という父の教え