「自分の親」の子育て方針は、自分自身の子育てにも知らず知らずのうちに影響を与えているもの。生活面や勉強面、性教育などにおいて「自分がどう育てられたか」を振り返り、「まねしたい点」や「反面教師にしたい点」、「子世代に受け継ぎたい点」や「時代に合わせてアップデートしたい点」をフラットな視点で冷静に分析してみませんか。子育てが楽になるだけでなく、わが子の「生きる力」を伸ばすことにもつながるはずです。

「反動子育て」がよくない理由は

 「自分の親が厳しかった」「親だから偉い、といった態度が嫌だった」――。自分の親を反面教師として、友達のように対等で仲のよい親子関係にしたい、子どもをできるだけ自由に育てたい、というママ・パパは少なくないでしょう。

 とはいえ、友達のような親子関係でいいのかという不安を抱える親もいます。

「友達親子で大丈夫?」 よくある不安や疑問

・子どもが親の言うことを聞かないようになるのではと不安
・子どもたちの能力をちゃんと引き出すことができる?
・思春期など適切な時期に子離れは可能?

 「子どもの能力をちゃんと引き出したいなら、親子は友達にはならないほうがいいと考えています」。そう話すのは、子育てコーチングの専門家でNPO法人ハートフルコミュニケーション代表理事の菅原裕子さんです。「『厳しくされた』という定義にもよりますが、自分は親に厳しくされて嫌だったからという反動だけで『自分の子どもは自由に育てたい』と考え、検証することなく実行すると落とし穴にはまるかもしれません」

 「その『厳しさ』が具体的にどこにあったのかを検証することが大事」と菅原さん。「例えば、『ご飯の時間は、テレビはつけない』という方針を親が持っていたとします。子どもからすると『厳しい』と感じるかもしれませんが、『テレビは楽しいよね。でもご飯の時間は家族にとって大事な時間で、食べる行為や会話を大切にしたいから、うちではテレビはつけないよ』と伝えるなら、それは厳しい、厳しくないとは無関係な『教育』なわけです」

 不要な厳しさだったのか、長い目で見れば生きる力として役立った厳しさだったのか。親の育て方のよかったところ、よくなかったところ、どんな意味を持っていたのかといった検証をすることは、自分の子育てにポジティブに役立てるために大事だと菅原さんはアドバイスします。

 検証するためには、「人育て」の基本知識を持っている必要がある、とも菅原さんは言います。「知識がないまま誤った『自由さ』を与えた結果、思春期以降に困ったことになったケースは多々見てきました。人生そのものを左右するような結果に至る場合も結構あります」

 「子どもの自由意思や自発性を大事にしつつ、子どもの能力を引き出すことは可能」という菅原さんに、親子が友達にならないほうがいい理由、人育ての基本、未就学児のころから親が心がけておきたいこと、などを次ページから詳しく聞きます。

こんな疑問へアドバイス!

Q 親子が友達にならないほうがいい理由とは?
Q ではどんな親子関係がいいの?
Q 上下関係なしに、子どもに何かを教えることは可能?
Q 「人育て」に「叱る、怒る、ほめる」は必要ないって本当?
Q 子どもがルールや約束を守らない どうすればいい?