グローバル化が急速に進んでいます。わが子が社会に出るころには、同僚や取引先に外国人がいたり、海外市場を見据えて仕事をしたりするのが当たり前の世の中になっているはず。英語は今以上に必須スキルになることは確実です。中学受験で英語入試があったり、英検取得が受験に有利な学校も登場しています。今こそ子どもたちの将来を意識した英語教育を始めるとき! では、親はどうサポートすればいいのでしょうか。専門家に聞きました。

英語教育のスタート、ベストは乳幼児期だが、発達に沿った学び方ならいつでも可能

 小学校では3~4年生から外国語活動として英語を扱うようになりました。5~6年生では教科として授業が始まっています。子どもの言語獲得・発達が専門で、長年にわたり英語教育に携わっている玉川大学大学院名誉教授の佐藤久美子さんは、小学校教諭に対して英語の教え方の研修を行っています。その際、7割くらいの子どもは英語が好きだが、一部にそうではないという子がいると聞くそうです。

 「学習全般が苦手な子どもがいることも事実ですが、中には『学校の英語は易しすぎるからつまらない』という子もいます。恐らく幼い頃から英語を習っていて『もう知っている。つまらない』と思ってしまうのでしょう。もちろん、英語を初めて習う子もいるので、学校教育では仕方がない面があります」

 とはいえ「小学校で英語が始まる前から英語を学ばせることは悪いことではありません」と佐藤さん。「実践的な英語を身に付けさせたいなら、やはり幼い頃に始めるほうがよいでしょう。子どもは乳幼児期のほうが耳がよく、英語を学ぶ上で必要な『まね』も上手だからです」

 ただし、小さいときにスタートしそびれてしまったという場合も気にする必要はありません。最初のステップを飛び越え、その子の今の年齢・学年に応じた段階からスタートしても、英語を身に付けることは可能です。例えば、中~高学年は文字から入ったり、モデル会話を参照したり、説明を聞いて理論的に学ぶほうが理解しやすくなります

5つの時期に分けたロードマップで「聞く」「話す」「読む」「書く」を育む

 親が子どもに英語を身に付けさせたい目的としては、将来グローバルな場で困らないようにするためや、英語を使って活躍の場を広げてほしいということがあるでしょう。

 実践的な力をつけさせるためには、子どもの発達段階に合わせていくことが大切です。いつ、どんなことを行うか、長期戦略が必要となります。

 まず、耳が良く、まねっこが上手な乳幼児期は「聞く」を重視し、親子のやり取りで「話す」も経験させます。たくさん聞いたり見たりし、親子のやり取りをすることで、文法の基礎が自然と身に付きます。これは母語でも同じです。「読む」「書く」も経験させますが、分量は比較的少なめでOKです。

 気に入った英語教材や教室を活用するのもよいでしょう。教材や教室に任せきりにするのではなく、子どもが今何を学んでいるか、それは目的に合っているかを常に把握しておく必要があります。英語教材や教室も長期戦略でのツールの1つとして捉え、何をどのように学ばせるかについては、親が主体性を持つことが大切です。

 就学後は「読む」と「書く」の経験を増やしていきます。自分で調べる経験も取り入れていきます。引き続き「聞く」「話す」も大切です。高学年までかけて、4技能をバランス良く伸ばしていきます。学校でも英語が始まるので、「易しすぎてつまらない」という子には、親がフォローする必要が出てきます。

 では、具体的にどのようなことを行えばよいのでしょうか。佐藤さんは0歳から高学年までのロードマップを5段階に分けて、それぞれに行うべき課題を提案します。

 5つの段階は次の通りです。
【1】0歳~2歳半
【2】2歳半~年長
【3】低学年
【4】中学年
【5】高学年です。
 本記事(上編)では【1】0~2歳半までの課題を紹介します。

英語学習の5段階ロードマップはこの記事で紹介

■【上編】子への英語教育は5段階で考える まずは親子遊び ←今回はココ

2歳半~年長、低学年はこちらの記事で紹介!
■【中編】幼児~低学年「ABCでお名前書けた」で英語に自信を

中学年、高学年はこちらの記事で紹介!
■【下編】中~高学年の英語 「辞書」フル活用で独習時間を増やす

 既に幼児や小学生になっている場合も、まずは該当する年齢からスタートしてみてください。もし難しいと感じたら、1つ前のステップに戻るとよいでしょう。