ワーママになってから、頭を下げたり、自分はダメだと思ったりして、心が消耗することが増えていませんか。お迎えが遅くて、週末のお出かけも近所の公園止まりで、子どもに「ごめんね」。子どもの病気で仕事を休み、職場にも「申し訳ない」。パワフルなワーママのキラキラした両立ライフに、自分はダメだとモヤモヤ。こんなことがあると、仕事への自信がなくなって、子どもや夫にきつく当たり、さらに自己肯定感もダウンしてしまいます。「しなければいけないことは山ほどあるのに、モチベーションが上がらない」という声もよく耳にします。そんな「ワーママの憂鬱」との上手な付き合い方や、持つべきマインドセット、すぐにできるメンタルの回復法、モチベーションの上げ方を探っていきます。

不安定な気持ちは、ママの「能力の欠如」の結果ではない

 タスクが山積みなのに、目の前のわが子が思うように動いてくれず、イライラ。お迎えも遅れてばかりだし、やってあげたいことの半分もしてあげられず、子どもに対し「ごめんね」「申し訳ない」の気持ちがあふれてしまう……。こうしたわが子への「イライラ」や「申し訳ない」といった負の感情に日々振り回され、ストレスに感じている人は少なくありません。

 「わが子へのイライラや『申し訳ない』に押しつぶされそうという状況は、多くの働くママが共感できるのではないのでしょうか。私自身も子育てでこうした気持ちを散々味わってきました」。こう話すのは、はこにわサロン東京代表で、臨床心理士・公認心理師の吉田美智子さん、中学生の子どもの母親です。

 吉田さんは、小中学校のスクールカウンセラー、保育園の巡回相談などの仕事を通じ、多くの親子に接してきた中で、働くママが子どもに対して不安定な気持ちを持ってしまうのは、ママの能力ではなく、社会構造の問題だと確信したと言います。

 「夫婦間の家事労働が不均衡だったり、社会が女性に母親としての役割を強く求めたりするなど、いまだに働くママの仕事と子育ての両立環境は整っていません。ゆとりのある子育てをしているママなんてほとんど見たことがないくらい、みんなタスクをぎっしり抱え、ギリギリのところで子育てをしています。

 加えて今は女性活躍推進の流れで、働くママがリーダーや管理職に登用されるケースが増えたことで、働くママたちは企業からも社会からも『仕事も子育てもうまくやってね』とすべてを丸投げされ、状況はさらに過酷になっています」

 こうしたストレスを感じやすい状況の中で、イライラする気持ち(他責感情)や、申し訳ないという気持ち(自責感情)が強まり、それが子どもに向かってしまいやすい、と吉田さん。それにしても、なぜこのような相反する感情がわくのでしょうか。また、攻撃的な気持ちがなぜ、守るべきわが子に向かってしまうのでしょう。詳しく聞いていきます。

働くママが抱きがちな子どもへのイライラ&「申し訳ない」のなぜ

・働くママが他責(子どもへのイライラ)と自責(子どもに申し訳ない)という相反する感情を抱きやすいのはなぜ?
・感情が不安定なのは不健全ではない
・感情を安定させるために、働くママが意識すべきことは ほか